炭化ケイ素
STは、数年間にわたるSiC(Silicon Carbide: 炭化ケイ素)技術の研究開発を経て、2004年にST初のSiCダイオードを発表しました。その後、2009年にSiC MOSFETを発表し、2014年に量産が開始されました。現在、STはSiC技術をベースとする中電圧 / 高電圧パワー・デバイスにおいて、業界でも有数の幅広い製品ポートフォリオを展開しています。STは、信頼性に優れた堅牢なSiCサプライ・チェーンの構築および生産能力拡大に積極的に取り組んでいます。また、これにより需要の増加に対応するとともに、長期製品供給プログラムの拡張を通じ、安定した継続的な供給を実現します。
STは、最高水準の規格に合わせてSiC製品を製造し、電気自動車(EV)や、ソーラー・インバータ、エネルギー貯蔵システム、産業用モータ・ドライブ、および電源向けに高い信頼性、性能、効率を実現しています。STの技術は、産業および車載用アプリケーションにおける標準規格を上回っており、さらに過酷な航空宇宙アプリケーションに向けた開発も進めています。
Silicon Carbide Campusを
カターニャ工場に新設
STは、パワー・デバイスやパワー・モジュールの製造、テスト工程およびパッケージング工程を含む新しい200mm SiC製造施設をイタリアのカターニャに建設することを発表しました。同カターニャ工場で準備中のSiC基板製造施設にこの施設が加わり、STのSilicon Carbide Campusが誕生します。
25年以上にわたりSiCの研究開発に取り組んでいるSTは、サプライチェーンを完全に制御しつつ、市場をリードするSiCソリューションを開発しています。
SiCをベースとするパワー半導体は、従来のシリコンを上回るさまざまなメリットを提供します。より高電圧 / 高周波に対応するため、システム効率の向上やスイッチングの高速化、損失低減、および熱管理の簡略化に貢献します。これらの特性から、SiCパワー半導体は、より高い電力密度を備えた小型・軽量な電源設計を実現します。
SiCベースのパワー・デバイスは、最大200℃の接合部温度(パッケージによる制限のみ)でも動作できるため、冷却装置の要件が軽減され、より小型で信頼性に優れた、堅牢なソリューションが可能になります。既存の設計に対し、大きな変更なしでSiCの優れた性能や効率を導入することができるため、部品数を最小限に抑えつつ迅速な開発に貢献します。
SiCパワー半導体は、トラクション・インバータ、オンボード・チャージャ、およびDC-DCコンバータなど、EVにおける重要な電源システムに採用されています。また、充電ステーションの大幅な効率向上にも貢献します。シリコン・デバイスと比較して、SiCデバイスは以下のメリットを提供します。
SiCパワー半導体は、モータやロボット、ファクトリ・オートメーション・システムといった産業アプリケーション、およびサーバやソーラー・インバータ用の電源にも最適です。産業アプリケーションにおいて、SiCデバイスはシリコン・デバイスに比べて以下のメリットを提供します。
ワイド・バンドギャップ半導体として注目を集めているSiCは、従来のシリコンに対しさまざまなメリットを備えています。