NFC技術は、2011年9月に初めてスマートフォンに導入され、現在ではiOS / Androidを問わずほとんどのスマートフォンに搭載されています。
NFC対応スマートフォンは、NFCアンテナに接続されたNFCコントローラを搭載しています。
NFCコントローラは、専用のCPUとしてアプリケーション・プロセッサ・ソフトウェアからの命令を処理し、NFCタグICの検出やコンテンツの読取りを実行します。
NFCアンテナは、一般的にスマートフォン背面の上部 / 中部 / 下部いずれかに配置され、スマートフォン前面に搭載されていることはほとんどありません。
最近のスマートフォンでは、背面の上部に組み込まれる傾向があります。
タッチポイント接続およびスマートフォンとの通信
通信時には、NFCアンテナが動作に必要な電力および外部信号をスマートフォンから受けとり、2つのアンテナ間の電磁誘導によってNFCタグIC(タッチポイント)を起動します。
小型のロジック回路と、ある程度の大きさのメモリにより、NFCタグICはクエリを分析、処理し、スマートフォンから受信したメッセージに応答します。
スマートフォンとNFCタグIC間の通信範囲は数センチメートル程度です。
NFCフォーラムにより分類された5タイプのNFCタグICのうち、タイプ5(ISO / IEC 15693近傍規格の一種)のNFCタグICは最大限の距離で動作するよう規定されており、最も優れた通信範囲を提供します。
そのため、ユーザに最も便利で魅力的なNFC技術を提供するためには、タイプ5のNFCタグICが最適です。
STが提供するNFCフォーラム タイプ5準拠のNFCタグIC ST25TVシリーズは、ブランド認知アプリケーションに最適な製品です。
スマートフォンの読取り範囲
NFC機能は、Android / iOS問わずハイエンド・モデルから一般的なミドルレンジ・モデルまで幅広いスマートフォンに搭載されていますが、どの程度の範囲でNFCタグの読み取りを行うことができるのでしょうか?
スマートフォンには、以下の理由からモデルごとに異なる読取り範囲が設定されています。
- アンテナの位置
- アンテナのサイズ / 品質
- 付近のコンポーネントの影響
- 各種RF出力レベル
NFCタグICの読取りに最適なスマートフォンの位置も、モデルごとに異なります。同じアプリケーションを搭載していても、スマートフォンのモデルによって動作や性能が異なる場合もあります。
NFC対応スマートフォンのスキャン遅延
NFCが有効になっていても、スマートフォンは付近の読み取り可能なNFCタグICの存在を常に確認しているわけではなく、周期的に確認しています。
これはNFCタグICとは関係なく、スマートフォンの設定によるものです。確認する周期はメーカーの設定やOS、電源の設定、プロセッサ時間を消費するその他のバックグラウンド・アプリケーションなど、さまざまな要因に応じて異なります。
NFCの実装はスマートフォンに依存するため、デバイスごとに大きく異なる可能性があります。そのため、ユーザ体験に直接的な影響を与えます。
NFCタグで提供可能な情報
NFCタグICには、2種類のデータを格納することができます。
NDEF(NFC Data Exchange Format)形式
1つ目は、NDEF(NFC Data Exchange Format)と呼ばれる形式のデータで、NFCフォーラムにより正規化されています。NDEF形式のコンテンツはNFC対応スマートフォンで使用されます。ブラウザを起動してWebページ(URL)を開く、電話番号の呼び出しやテキスト化、アドレス帳への連絡先追加といった動作をトリガ可能です。
独自フォーマット
2つ目は、独自フォーマットのデータです。この場合、NFCタグICとの通信に専用のモバイル・アプリが必要です。
NFCタグICにNDEF形式のURLが組み込まれている場合、スマートフォンは自動的にWebブラウザを起動して対象のWebページを開くことができます。一方で、独自フォーマットのデータを持つNFCタグICの場合、機能を活用するためにNFCモバイル・アプリケーションが必要です。