ゾーン・アーキテクチャやソフトウェア定義型アーキテクチャへの移行は、車載パワー・ディストリビューションの設計、検証、拡張のあり方の見直しを迫っています。エンジニアリング・チームは今、高集積化、検証の早期化、コンセプトから試作開発までのプロセスの効率化を求めています。STが主要なエンジニアリング課題と、システム・レベルのソリューションをどのように結び付けているかをご覧ください。
スマート・パワー・ディストリビューションへの包括的なアプローチ
STは、システム・レベルの構成要素、評価ツールやデバッグ・ツールを含む包括的な開発エコシステム、アプリケーションに関する高い専門性により、この移行をサポートします。これらの能力が相まって、開発者が初期コンセプトから試作開発、さらには拡張性の高い12V / 48V設計へと、より確信を持って移行できるように支援します。
車載設計課題に対するSTのシステム・レベルの対応
STは、アーキテクチャの複雑さからシステム・レベルのサポートまで、開発プロセス全体にわたって設計者をサポートします。
主要機能ユニット専用ソリューション
STは、パワー・ディストリビューション・ユニットからゾーン制御、高出力の48Vドメインまで、次世代車載電源アーキテクチャの主要構成要素をサポートしています。
配電ハードウェアから、ローカライズされたインテリジェンスとドメイン・レベルのパワー・マネージメントへの進化:
| パワー・ディストリビューション・ユニット(PDU) | ゾーン制御ユニット(ZCU) | 高出力48Vドメイン |
|---|---|---|---|
| 主な焦点 | 旧来の機械式リレーと溶断ヒューズの置き換え | 分散アーキテクチャの「頭脳」と通信ハブ | アクチュエーション、熱管理、エネルギー変換 |
| 主なメリット | 超高速ワイヤ保護とリアルタイム充電状態(SoC)診断 | 高帯域幅のリアルタイム・データ処理とネイティブの機能安全 | 動的高負荷(電動ステアリング、電動ブレーキ、冷暖房空調設備)の効率的な処理 |
| システム・サポート | 12V / 48Vアーキテクチャ向けインテリジェント・パワー・ディストリビューション | 拡張性に優れたゾーン通信および分散コンピューティング・インフラ | 双方向パワー・ステージ・マネージメント(12V / 48V) |
革新的なポートフォリオに支えられたシステム・レベルの構成要素
STは、スマート・パワー・ディストリビューション、ゾーン制御、車載電気アーキテクチャの進化に対応する幅広いデバイスや構成要素を提供しています。パワー・ディストリビューション・ユニット、ゾーン・コントローラ、高出力ドメインなど対象を問わず、12V / 48Vネットワーク全体にわたって革新的なシステム設計を支える半導体基盤を提供します。
Stellarマイコン、ソフトウェア定義型eヒューズ、スマート・パワー・スイッチなどのソリューションは、パワー・スイッチング、保護、制御、診断、通信など、車載システム設計者が必要とする主要な機能をサポートします。現代のパワー・ディストリビューションは、ネットワーク化が進んでいます。STのソリューションは、CAN、CAN-FD、LINといった制御やステータス・メッセージング用のプロトコルによる車載ネットワーク全体にわたる通信だけでなく、ドメイン間の大容量通信を支える高速車載Ethernetもサポートし、診断、協調、リアルタイムのステータス情報交換の実現に貢献します。
インタラクティブ・ブロック図は、開発者が安全性、効率性、拡張性などの要件に対処しながら、集中、分散、およびゾーン・アーキテクチャに対応した柔軟なソリューションを構築するのに役立ちます。
パワー・ディストリビューション・ユニット(PDU)
STi²Fuseスマート・スイッチとArm®ベースのStellarマイコンを搭載した12V / 48Vアーキテクチャ
車載システム・トポロジの試作開発を迅速化する完全に事前検証済みの開発エコシステム
STは、エンジニアがアイデアから実装へより迅速に移行できるよう、試作開発を簡略化し、スケーラブルな設計へのスムーズな移行をサポートする評価ボード、デバッグ・ツール、およびソフトウェア資産を提供しています。約10年にわたる高速プロトタイピングの経験に基づいて構築されたAutoDevKitは、車載システム・トポロジの検討の効率化を支援するハードウェア、ソフトウェア、開発者ツールを統合した事前検証済みの開発エコシステムです。パワー・ディストリビューション、コネクティビティ、診断、システム・パーティショニングの早期評価をサポートし、チームがコンセプトから試作開発、さらにはスケーラブルな設計へと迅速に移行できるように支援します。
この開発エコシステムを実現するAutoDevKitボードおよびツール
コンパクトな設計に最適な低電圧PDU
コンパクトな設計に最適な低電圧PDU
低スタンバイ電流のPチャネルを8チャネル搭載した10チャネル12Vパワー・ディストリビューション・ユニット。ゾーン・コントローラ内のセカンダリPDUとしても、より複雑なプライマリ・ディストリビューション・システムの構成要素としても使用できます。
26チャンネル・パワー・ディストリビューションECU
26チャンネル・パワー・ディストリビューションECU
SPC58NGマイコンとSTi2Fuse eヒューズをベースにした26チャンネル車載用パワー・ディストリビューションECU。12Vアーキテクチャ、選択的保護、故障分離、負荷管理をサポートし、ゾーン制御やSDV指向の設計に最適です。
CAN-FDを搭載したマイコン・ベースのディスカバリ・キット
CAN-FDを搭載したマイコン・ベースのディスカバリ・キット
SPC58EC車載用マイコンをベースにし、CAN-FDと車載用統合コネクタを搭載したコンパクトなディスカバリ・キット。接続エラーの削減、過酷な環境下での堅牢性の向上、信頼性の高いプラグ・アンド・プレイによる試作開発をサポートします。
マイコン用プログラマ / デバッガ・ドングル
マイコン用プログラマ / デバッガ・ドングル
SPC58マイコン用のコスト効率に優れた小型プログラマ / デバッガ・ドングル。SPC5-StudioおよびAutoDevKit Studioと完全に統合されており、迅速な立ち上げと開発時間の短縮を実現します。
STは、ハードウェア・ベースの評価にとどまらず、仮想プロトタイピングの基盤も構築しています。
今後の展望:仮想プロトタイピングによる設計検討の早期化
STのエンジニアとエキスパートは、初期段階のアーキテクチャ検討をさらに支援する仮想プロトタイピング・ツールの開発にも取り組んでいます。自動車メーカーの間でモデル・ベースのクラウド・ホスト型開発ワークフローの採用が進む中、仮想プラットフォームはECU、電源アーキテクチャ、システム・インタラクションを開発サイクルの早い段階で検証する上で不可欠になりつつあります。
現在、TwisterSIMはこのアプローチの第1の柱となっており、システム動作のシミュレーション、設計上の選択肢評価の早期化、開発の初期段階における物理的試作への依存低減を支援します。より迅速な反復開発、より的確な情報に基づくアーキテクチャ決定、スケーラブルなスマート・パワー・ディストリビューション設計へのスムーズな移行をサポートします。
これらの機能は、ハードウェア・ベースの評価を補完することで、ハードウェア供給の遅れ、高額なテスト・コスト、複雑さ、開発エコシステムの断片化、長期にわたる保守やセキュリティ・テストの負担増大といった課題の解決に貢献します。これらが相まって、将来のST製品を使用した試作開発の仮想化の基盤を築きます。