SiCパワーMOSFETで高電力システムをもっと小型・高効率に。

STの650V~1700V耐圧のSiCパワーMOSFETは、ワイド・バンドギャップ材料の先進的かつ革新的な特性により、極めて低い単位面積あたりのオン抵抗(RDS(on))と、優れたスイッチング性能が特徴で、より高効率かつ小型システムの実現に貢献します。
SiCパワーMOSFETは、シリコンIGBTに比べて、導通抵抗とスイッチング損失が低く、高電力パワー・エレクトロニクス・システムの高効率・高周波化を可能にします。
特徴
- 高耐圧
- 高電流
- 高い動作保証温度
- 低い導通抵抗
- 速いスイッチング・スピード
- 低いスイッチング損失
- 低い寄生容量
アプリケーション
- 高周波電源
- 誘導加熱電源
- プラズマ電源
- 溶接機
- 無停電電源
- 電源モジュール
- モータコントロール
- EV急速充電器
低い導通抵抗で通電時の損失を低減
SiCパワーMOSFETの大きな特徴の1つである低い導通抵抗。同じ耐圧で同程度の電流定格のSiCパワーMOSFETとシリコンIGBTに、順方向電流(IdまたはIc)を流した場合に、どれだけの電圧降下(VdsまたはVcesat)が発生するかを下のグラフで表しています。25℃のときは25A以下の領域で、175℃のときは35A以下の領域でSiCパワーMOSFETの方がシリコンIGBTよりも低い導通抵抗になっています。つまり、これより低い電流で動作する限り、SiCパワーMOSFETの方が、シリコンIGBTよりも導通損失が低くなります。

IGBTでネックになっていたスイッチング損失を低減
SiCパワーMOSFETのもう一つの大きな特徴。それは、低いスイッチング損失です。ここでは、シリコンIGBTとSiCパワーMOSFETを以下の条件でスイッチング・オフさせてみました(Vds / Vce= 800V、Id / Ic= 12.5A、Rgoff= 2.2Ω、Vgsoff / Vgeoff= -4V)。すると、下のグラフのように、シリコンIGBTに比べてSiCパワーMOSFETのスイッチング・オフ損失が74%小さくなることが分かりました。
SiCパワーMOSFETとシリコンIGBTを比較
SiCパワーMOSFETの高い性能を検証するために、以下の昇圧コンバータ回路にあるシリコンIGBTをSiCパワーMOSFETに置き換えて電力効率を比較してみました。(※昇圧用SiCダイオードは変更していません)

比較検証に使用したパワー半導体
| 品 名 | パッケージ | 耐 圧 | 電流定格 (ID / IC / IF) | オン抵抗 / VCE(SAT) / VF |
| SiCパワーMOSFET(1個) | HIP247 | 1200V | 34A @Tc=100°C | 80mΩ @25°C 100mΩ @200°C |
| シリコンIGBT(1個) | TO247 | 1200V | 25A @Tc=100°C | 2.10V @25A, 25°C 2.70V @25A, 175°C |
| SiCダイオード(2個) | DPAK | 1200V | 6A @Tc=125°C | 1.55V @6A, 25°C 2.05V @6A, 150°C |
1)電力損失を66%も削減
昇圧コンバータを以下条件で動作させた際のシリコンIGBTとSiCパワーMOSFETの発生損失を比較すると、スイッチング素子で発生する損失を約66%削減できることが分かりました。下のグラフに示す通り、もともと支配的であったスイッチング損失を17.5 [W] から6.1 [W] まで下げられたことが主な要因です。従来はIGBTを使って構成していたスイッチング電源の効率改善に大きく寄与します。 (Pin= 4kW, Vin= 600 V, Vout= 800 V, fsw= 25kHz, Rgoff= 2.2Ω, Vgsoff or Vgeoff= -4V)

2)すべての出力域で約0.4%高い効率
次に、同じ回路で出力を2kWから5kWまで変化させたときのシステム効率を比較します。すべての出力域でSiCパワーMOSFETを使用した場合の方がシリコンIGBTよりも約0.4%高い効率を示す結果となりました。この結果から、IGBTをSiCパワーMOSFETに置き換えることで、性能を高められることが分かります。

3)高速スイッチングと低損失でスイッチング周波数アップ
また、SiCパワーMOSFETの速いスイッチング・スピードと低いスイッチング損失の特徴を生かして、昇圧コンバータのスイッチング周波数を上げることも可能です。下図は、シリコンIGBTを25kHzで動作させた時と、SiCパワーMOSFETを100kHzで動作させたときの波形です。
4)高周波化でシステム小型化に貢献
上記動作時の効率を比較してみました。すると、SiCパワーMOSFETを100kHzで動作させた際の効率は、シリコンIGBTを25kHzで動作させたときと同等であることが分かりました。効率を下げることなく周波数を25kHzから100kHzに上げることにより、インダクタを1.2mHから0.3mHに減らすことができ、システムの小型化に大きく貢献します。

製品リスト
| 品 名 | 耐圧(V) | 最大オン抵抗(Ω) | 電流(A) | パッケージ | サンプル* |
| SCTH35N65G2V-7 | 650 | 0.067 | 45 | H2PAK-7 | 購入はこちら |
| SCTW35N65G2V | 650 | 0.067 | 45 | HIP247 | 購入はこちら |
| SCTWA35N65G2V | 650 | 0.072 | 45 | TO-247 long leads | 購入はこちら |
| SCTWA90N65G2V | 650 | 0.024 | 90 | TO-247 long leads | 購入はこちら |
| SCTH90N65G2V-7 | 650 | 0.024 | 116 | H2PAK-7 | 購入はこちら |
| SCTW90N65G2V | 650 | 0.024 | 119 | HIP247 | 購入はこちら |
| SCT10N120 | 1200 | 0.690 | 12 | HIP247 | 購入はこちら |
| SCT20N120H | 1200 | 0.239 | 20 | H2PAK-2 | 購入はこちら |
| SCT20N120 | 1200 | 0.239 | 20 | HIP247 | 購入はこちら |
| SCTWA20N120 | 1200 | 0.239 | 20 | TO-247 long leads | 購入はこちら |
| SCT30N120 | 1200 | 0.100 | 45 | HIP247 | 購入はこちら |
| SCTWA30N120 | 1200 | 0.100 | 45 | TO-247 long leads | 購入はこちら |
| SCT50N120 | 1200 | 0.069 | 65 | HIP247 | 購入はこちら |
| SCTWA50N120 | 1200 | 0.069 | 65 | TO-247 long leads | 購入はこちら |
| SCTW70N120G2V | 1200 | 0.030 | 91 | HiP247 | 購入はこちら |
*サンプルはチップワンストップ社よりご購入いただけます。
関連資料 & ツール
SiCパワーMOSFET
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