アプリケーションに適した電流センサを選択してシステムの性能を最適化するには、これらのパラメータを理解することが重要です。

電流センス・アンプを選択する際の主要パラメータ

電流センス・アンプを選択する際は、以下のパラメータが重要です。

入力コモン・モード電圧
負荷電流範囲
負荷に流れる電流の方向
  • 入力コモン・モード電圧(Vicm):
    入力ピンの電圧範囲は、グランドを基準として規定されます。Vicmが広いと、車載48Vシステムなどの高電圧環境での検出が可能です。
  • 負荷電流範囲:
    測定対象となる電流の想定範囲です。
  • 電流の方向:
    片方向または双方向のどちらの電流測定が必要かを示します。

設計に必要な構成の明確化

  • ハイサイド構成:アプリケーションで必要な最大コモン・モード電圧(VICM)と電源電圧(VCC)に応じて、適切な電流センス・アンプを選択します。
  • ローサイド校正:0V付近のコモン・モード電圧で動作できる電流センス・アンプを選択します。オペアンプを使用して、4つの外部抵抗器を追加しゲインを設定することもできます。ただしこの場合には基板面積が大きくなり、精度が低下する可能性があります。

 

電流の方向を確認

必要な構成を明確にしたら、アプリケーションの電流が両方向に流れるかどうかを確認し、片方向センシングまたは双方向センシングを選択します。

 

正確な測定が必要な場合の措置

アプリケーションに関連する複数のパラメータを考慮する必要があります。測定する電流範囲と使用するシャント抵抗によっては、シャント抵抗両端の電圧降下がきわめて小さくなります(数百µV)。高精度を実現するには、オフセットとゲイン精度に関連する誤差を検討することが重要です。

STの電流センス・アンプ・ソリューションでは、シャント抵抗とオームの法則を用いて正確な電流測定を実現します。シャント抵抗では電力が熱として消費されるため、測定精度に影響を与えます。シャント抵抗値を小さくすることでこの影響を抑えられますが、より高い増幅ゲインが必要となり、結果として全体的な測定精度が低下します。

BR2602CSENSINGQR BR2602CSENSINGQR BR2602CSENSINGQR

電流センシングにおける誤差と較正

正確な電流センシングは、パワー・マネージメント、モータ制御、バッテリ監視など、多くの電子アプリケーションにおいて重要です。一方、正確な電流測定を実現する上では、さまざまな誤差要因が課題となります。これらの一般的な誤差を理解し、適切な較正手法を適用することで、測定精度とシステムの信頼性を大幅に向上させることができます。

電流センシングにおける一般的な誤差

オフセット誤差

オフセット誤差は、アンプやセンサ固有の電圧オフセットによって発生し、電流が流れていない状態でも出力がゼロにならない原因となります。その結果、基準値に誤差が生じ、微小電流の測定精度が低下します。

 

ゲイン誤差

ゲイン誤差は、部品の許容誤差や温度変化などにより、センサ出力が入力電流に対して正しく比例しない場合に発生します。その結果、測定範囲全体にわたって入力に比例した測定誤差が生じます。

 

温度ドリフト

シャント抵抗やアンプなどの部品は温度によって特性が変化するため、測定値にドリフトが生じます。その結果、動作条件に応じて変化する測定誤差が生じる可能性があります。

 

寄生抵抗 / 寄生インダクタンス

PCB配線、コネクタ、配線材などには意図しない抵抗やインダクタンスが存在し、特に高周波や過渡状態では電流測定に誤差を生じさせる可能性があります。

誤差を低減するための較正技法

オフセット較正

電流が流れていない状態でセンサ出力を測定し、そのオフセット値を以降の測定値から差し引くことで、ゼロ電流較正を行います。これにより基準誤差が補正され、微小電流の測定精度が向上します。

 

ゲイン較正

既知の基準電流を流し、出力が期待値と一致するようにセンサのゲインを調整します。これによりゲイン誤差を補正できます。

 

温度補正

温度センサで周囲温度を監視して補正アルゴリズムを適用するか、温度係数の小さい部品を選択することで、ドリフトを最小限に抑えます。

 

フィルタ / シールド

アナログまたはデジタル・フィルタによってノイズを低減するとともに、適切なシールドや接地を行うことでEMIや妨害の影響を抑えます。

 

定期的な再較正

部品の経年劣化、環境変化、機械的ストレスなどによるセンサ特性の変化を考慮し、システムを定期的に再較正します。

コンテンツ

すべて表示
折りたたむ

内蔵過電流保護(OCP)とオペアンプの比較

アプリケーションの損傷を防止する上で重要なポイントの1つは、電流の変化を高速かつ正確に測定できることです。コンパレータ回路を用いた電流センシングは、過電流の検出に広く使用されている方法です。入力コモン・モード電圧が30V未満の多くのアプリケーションでは、電流センス・モニタとオペアンプのどちらを選択するかは、設計要件に応じて決定できます。

内蔵OCP回路 オペアンプによるOCP回路

内蔵OCP:

  • 1デバイスで構成できるため、部品点数と基板面積を削減可能
  • 高速応答
  • ローサイド、およびVccを超えるコモン・モード電圧に対応したハイサイド

オペアンプによるOCP:

  • 柔軟性の高いソリューション
  • 外付け部品が必要
  • コモン・モード電圧がVcc以下に制限
  • 高精かつ高速な応答が求められる場合、コストが高くなる可能性あり