電流センス・アンプ
電流センス・アンプは、その入力に接続した負荷を流れる電流に比例したアナログ電圧を出力する差動アンプです。

STの電流センス・アンプICの製品ポートフォリオには、さまざまな高性能デバイスが含まれています。

電流センス・アンプ・ソリューションは、重要な安全機能と保護機能をシステム設計にもたらします。電源回路を流れる電流を測定し、過熱や短絡を防止します。効率の良い電力監視と環境影響の最小限化を目的としたエネルギー計測においても、電流センシングは不可欠な技術です。
主な機能
STの電流センス・アンプICの製品ポートフォリオは、主に以下のような特徴を備え、堅牢性およびアプリケーションの安全性を確保しています。
高耐圧
電気自動車のバッテリのような高電力システムでは、高い電圧範囲に対する許容度と、負電圧を扱う保護メカニズムが不可欠です。STの電流センス・アンプは、外部に保護部品を追加することなく高電圧アプリケーションで動作できるため、最終的な回路構成を簡素化することができます。
高精度
高精度の電流センス・アンプを使用することにより、最小限の誤差でシャント抵抗両端のわずかな電圧降下を測定することができます。測定による電力損失を最小限にするため、シャント抵抗値を小さくする必要があります。きわめて正確な電流測定が可能な高精度電流センス・アンプにより、優れた電力効率と熱性能が得られます。
電流センス・アンプの主なメリット
回路設計において、電流センス・アンプには以下のメリットがあります。
- 数ミリ・アンペアから数百アンペアの電流を測定可能
- 電源トポロジなどにおいて電流をリアルタイムで測定可能
- 内蔵された抵抗で適正に固定ゲインが構成されており、高精度な電流測定が可能
- 内蔵されたゲイン抵抗により、PCBの小型化が可能
- 動作電源電圧をはるかに超える高いコモン・モード入力電圧に対する耐量
電流センス・アンプの動作

電流センス・アンプの動作原理は、オームの法則に基づいています。電流センス・アンプの入力側にあるシャント抵抗(Rshunt)に負荷電流が流れると、その両端に電圧降下VSENSEが発生します。測定による電力消費を抑制するために、この電圧は基本的に小さい値にします。
VSENSEはその後、電流センス・アンプ内部の計装アンプで増幅されます。得られる出力電圧(VOUT)は負荷電流に比例します。この電圧をADC(A/Dコンバータ)で処理します。
電流センス・アンプの主な種類

ハイサイド・アンプ
電源と負荷の間で電流を測定します。入力ピンには、電源電圧よりはるかに高いDC電圧が印加されることがあります。
メリット
- 対グランド短絡の検出
- グランド障害に対する高い耐性
- 電源供給側から電流を直接監視
課題
- 高い入力コモン・モード電圧
- 入力コモン・モード電圧の高速な変動への対応
ローサイド・アンプ
負荷とグランドの間で電流を測定します。入力ピンにはグランド・レベルに近い電圧を印加します。
メリット
- シンプルな実装が可能
- コスト効率に優れたソリューション
- VICM(入力コモン・モード電圧)が GND(0V)に近い値
課題
- 対グランド短絡の検出が困難
- 複数出力の電源への対応(すべての電流がGNDラインを共用)
- 負荷から見たグランド電圧が変動する可能性
双方向 / 片方向
アプリケーションによっては、電流が双方向に負荷を流れることがあります。この例として、Hブリッジ・トポロジによるモータ制御アプリケーションがあります。この場合、電流センス・アンプには、追加のピンとしてVREFが必要となります。VREFピンにより、電源範囲の任意の電圧を設計段階で出力基準電圧として設定することができます。基準電圧を1つの電圧レールに設定することで、双方向アンプを片方向電流センス・アンプとして使用できます。
設計に適した電流センス・アンプの選択方法
設計に必要な構成の明確化
ハイサイド設定: アプリケーションで必要な最大コモン・モード電圧(VICM)とそのアプリケーションの電源電圧(VCC)に応じて、電流センス・アンプを選択します。
ローサイド設定: 0Vに近いコモン・モード電圧で動作できる電流センス・アンプを選択します。
オペアンプを使用して、4つの外部抵抗器を追加しゲインを設定することもできます。ただしこの場合にはPCBのサイズが大きくなり、精度も低下します。電流の方向の確認
必要な構成の明確化と、電流検出を双方向とするか片方向とするかを選択するため、アプリケーションで電流を双方向に流す必要があるかどうかを確認します。
正確な測定が必要な場合の措置
アプリケーションに関連するいくつかのパラメータを考慮する必要があります。測定する電流範囲と使用するシャント抵抗によっては、シャント抵抗両端の電圧降下がきわめて小さくなります(数百µV)。高精度を実現するには、オフセットとゲイン精度に関連する誤差を検討することが重要です。
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