VL53L8CH

概要

VL53L8CHは、周囲光下での性能が向上し、対角65°の広い視野角（FoV）を検出できるAIアプリケーションに対応したToF測距センサです。高性能マルチゾーンToF測距センサからのコンパクト･ノーマライズド･ヒストグラム（CNH）の革新的なデータ出力は、生データを必要とする人工知能（AI）アプリケーションのために特別に開発されました。

各ゾーンで測定された信号は、生データとしてヒストグラムの各ビンを通じてホスト･デバイスに送信されます。この出力データは設定自由度が高く、ユーザはVL53L8CHの解像度を最大64ゾーン（8 x 8ゾーン）までプログラム可能、ヒストグラムの分解能も最大128ビンまで設定でき、さらにビン幅を定義することも可能です。これらすべてのCNHデータは、標準のToF測距センサの出力データ（距離、信号レベル、反射率など）と共にI²CまたはSPIを通して最大30Hzでホスト･デバイスへ送信されます。

CNHデータは、STのTime-of-Flight測距センサを汎用性の高い光学センサへと変貌させ、ToF測距センサを用いたAIベースのアプリケーションの実現を可能にしました。出力されるCNHのデータからは、通常の測距データ以上の多くのデータを得られることから、新しいアプリケーションへの扉を開くことができます。例えば、材質（カーペット、木材、ガラス、鏡など）の検出だけでなく、気体や液体（水、油、化学薬品など）の検出もできるため、コーヒー･メーカーや飲料ディスペンサではカップの位置や大きさを検知したり、自走式ロボットなどで床材質の検出を行ったり、形、動き、ハンド･ポスチャ認識の検出なども可能になります。

VL53L8CHには、新世代のVCSELと高度な2つのメタサーフェイス･レンズが搭載されており、VCSELからは目の安全性に対する基準であるクラス1認証を受けている940nm赤外光が放射されます。