ソリューション概要
指定の領域に人が存在するかどうかを見極めることができる人検出テクノロジーは、ユーザ・インタフェース、セキュリティ、安全性などの幅広いアプリケーションに非常に有用です。また、誰かの入 / 退室に合わせて照明のオンとオフを切り替えたり、サーモスタット制御パネルへの接近に伴い画面をオンにすることで、エネルギー消費をアクティブに管理するためにも使用できます。
今日では、エネルギー・コストの削減、セキュリティの提供、サービスの向上の目的で、スマート・ホームやスマート・ビルディング・ソリューションへの需要が高まっています。人検出アプリケーションは、あらかじめ定義済みのアクションをトリガする、高い信頼性と低コストを両立させる手段です。オフィスや公共図書館の空きワークスペースを特定するなどの形で、ユーザ体験を向上させます。これは、今日のコロナ禍後の世界においてソーシャル・ディスタンスを確保するために特に有効です。
精度の向上を通じ、即座のアクションや信頼性の高いセキュリティ・アラートを可能にすることだけでなく、特に処理能力、メモリ、消費電力上の制約のあるバッテリ駆動のデバイスでは、ソフトウェア開発とハードウェア設計の簡素化が課題となっています。STのソリューションは、コスト・パフォーマンスに優れた超低消費電力のSTM32マイクロコントローラで組み込みAIを活用することで、コストや設計上の考慮事項に対応しています。
システム構成
このシステムは、低解像度のイメージ・センサでデジタル動画をキャプチャし、高性能デュアルコアSTM32H7マイクロコントローラで効率的に処理します。このマイクロコントローラは、STM32用に最適化されたディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)の出力に基づき、人検出アプリケーション(FP-AI-VISION1)をエッジで実行できます。
次に、マイクロコントローラは、動画をキャプチャし、接続されているLCD画面やネットワークを通じて指定の領域に人が検知されたかどうかを示します。必要な実装フットプリントは非常に小さく、人の検知によってトリガされる複数の機能を同じマイクロコントローラ上に追加できます。追加できる機能には、人の検知や人数の計測、ペリフェラルによるアクチュエーション、複数のコネクティビティ・オプションを使用した情報の送信などがあります。
その結果、STM32用に最適化された畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)モデルを用いた物体検出アルゴリズムによって、人検出のためのコスト・パフォーマンスに優れた低消費電力のソリューションが実現しました。
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搭載製品の特徴
STM32H747XIH6:DSPおよびDP-FPU命令に対応した高性能デュアルコア・マイクロコントローラ
Arm® Cortex®-M7およびCortex®-M4コアを搭載したこのマイクロコントローラは、受信したデジタル・ビデオ信号を管理するために必要なペリフェラルと、最小限の消費電力で迅速かつ正確な人数カウント・アプリケーションを実現する処理能力とメモリを備えています。
FP-AI-VISION1:組み込みAIを用いたコンピュータ・ビジョン・アプリケーション向けのSTM32Cubeファンクション・パック
このソフトウェアは、STM32CubeMX用AI拡張パッケージ(X-CUBE-AI)を使用して生成した学習済みモデルをベースに、STM32ニューラル・ネットワーク・ライブラリを使用して、高度なコンピュータ・ビジョン・アプリケーションを実装します。
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All Features
- リアルタイムの人検出アプリケーションで、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)モデルを用いた物体検出アルゴリズムをベースに実装したファームウェア
- エッジ処理アプローチにより、集中型クラウド・ソリューションよりも少ない消費電力と短い遅延時間を実現し、精度と個人のプライバシーに重点を置くことが可能
- リアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS)による超低消費電力の実装
- STM32Cube構想により、さまざまなSTM32マイコン・シリーズ間での容易な移植を実現