UWB(Ultra-WideBand)は、センチメートル単位の精度を備えたリアルタイム位置測位システムにより、屋内における高精度の測位を実現する短距離無線通信技術です。過酷な環境下においても、低遅延、優れた堅牢性、高リフレッシュ・レートでの高い精度、優れた拡張性を提供します。
Industry 4.0において、UWBはリアルタイム位置測位システム(RTLS)を実現する技術として、急速に成長を続けています。信頼性が高く、他のワイヤレス・システムによる干渉を受けにくいことから、産業機器の置かれる過酷な環境下での使用に最適です。
車載用アプリケーションでは、セキュアなカー・アクセスをはじめとする先進的なアプリケーションを実現します。
UWBは、スマートフォン・メーカーの上位10社により最新モデルに搭載されたことから、大きな注目を集めています。このように、PCやスマートフォン、ウェアラブル機器などに幅広く導入されたことで、位置認識機能を備えたさまざまなアプリケーションへの普及が期待されています。
UWBを活用した測距システムのメリット
UWBによる測距は、従来使用されていた信号強度ではなく、2つの無線トランシーバ間のきわめて短い無線パルスの伝播時間(ToF: Time of Flight)を測定することで実現しています。無線パルスは常に同じ速度で伝播するため、減衰の影響を受けずに測定値を得ることが可能です。ToFを使用する場合、柔軟性の高い実装が可能になるため、より幅広いアプリケーションのニーズに対応することができます。また、UWBシステムでは高レベルの同期が必要であるため、きわめて高精度のクロノメータをピコ秒レベルで、また、同期したデバイスを最小ドリフトで使用します。
リアルタイム位置測位システムのさまざまな応用例
リアルタイムの距離および位置データは、さまざまなアプリケーションにおいて効率と安全性を向上させるための重要な情報です。1次元測位、2次元測位または3次元測位のアプリケーションにUWBを活用することで、IoT、自動車、モバイル通信、製造などの幅広い分野において革新的なソリューションを実現し、暮らしをより豊かなものにすることができます。UWBは、アセット・マネージメントや自動屋内ナビゲーション、交通管理、および住居 / 店舗 / ビル / 車 / 共有モビリティに対するアクセス制御など、セキュアかつ正確な測距や屋内 / 屋外マッピングをベースにした幅広いアプリケーションに最適です。
UWBに対応したアンカーやタグを使用すると、正確なトラッキングやジオフェンシングを通じて、工場、ビル、物流施設をスマート化することができます。また、複数の機器からその位置環境を把握することも可能です。測位データの信頼性が高いため、デジタル・カー・キー(DCK)や無人搬送車(AGV)、ドローン、ソーシャル・ディスタンス・タグなど、さまざまなスマート・デバイスやシステムに最適です。
ワイヤレス・コネクティビティ・ソリューションを拡張し、次世代IoTを実現するUWBテクノロジー
STは、UWBを活用したリアルタイム位置測位・測距システムの開発をサポートするために、汎用32biマイクロコントローラ(マイコン)STM32ファミリと豊富な開発エコシステムを提供しています。
また、 FiRa、UWB Allianceおよびomloxなどの標準化コンソーシアムに参加し、UWMテクノロジーおよび高精度のリアルタイム位置測位システムの普及に向けた取組みを積極的に行っています。