16 Oct 2017 | Geneva
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STマイクロエレクトロニクス、セキュリティ機能内蔵でネットワークの脅威からコネクテッド・カーを保護する先進的な車載用プロセッサを発表

  • 自動車とセキュリティに関するSTのノウハウを融合し、安全性、信頼性および品質の要件を満たす新しい車載プロセッサ
  • 業界初、独立した専用のハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)を実装した車載用プロセッサが最新のセキュリティを提供
Geneva / 16 Oct 2017

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、専用のセキュリティ・モジュールを組み込んだ最新の車載用プロセッサを発表しました。この車載用プロセッサは、ネットワークの脅威からコネクテッド・カーを保護します。

STマイクロエレクトロニクス、セキュリティ機能内蔵でネットワークの脅威からコネクテッド・カーを保護する先進的な車載用プロセッサを発表

市場調査会社によると、現在、数百万台のコネクテッド・カーが利用されており、2020年までに2億5千万台以上に増加すると予測されています(1)。ネットワーク接続型のサービスには、オンボード・テレマティクス・ユニット、Wi-Fiホットスポット、Bluetooth®機器や、オンボード診断(OBD)ドングルなどのアフター・マーケット機器が使用されており、より高い安全性と利便性を備え、ソーシャル・ネットワークとの通信、更には楽しいドライビング体験を、運転手と同乗者に提供します。しかし、これらの通信はすべて、不正アクセスによる攻撃にさらされる可能性があります。

自動車業界は、不正アクセスによる端末の悪用防止を進めています。またその一方で、コンテンツ配信、位置情報に基づく支援システム、インテリジェント・エマージェンシー・サポート、OTA(Over the Air:無線通信)による電子制御ユニット(ECU)ソフトウェアの更新など、ネットワーク接続型のサービスの市場成長を支えるために迅速なセキュリティ対策を講じています。専門家はメーカーに対し、ネットワーク接続機器の信頼性の確立や、あらゆる通信のセキュリティ確保など、広範な技術を採用することで、自動車の回路とソフトウェア全体を多層に防御することを推奨しています。

STは、世界中の金融・政府機関向けアプリケーションで実証済みのセキュリティ・チップに関する専門性と、業界の厳しい安全・品質基準を満たす車載半導体を組み合わせることで、これらの課題の克服に貢献しています。新しい車載用プロセッサTelemaco3P(STA1385ファミリ)は、強力かつ独立した専用ハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)を搭載した最初の車載用プロセッサです。このHSMは、独立したセキュリティ保護装置として動作し、データ通信の監視、暗号化、メッセージの認証を行うとともに、受信メッセージや外部から接続する機器を安全に認証することで、データ漏洩も防止します。

現在、コネクテッド・カーで一般的に使用されている汎用アプリケーション・プロセッサは、Telemaco3Pファミリと違い、ハードウェア・ベースのセキュリティ専用モジュールを搭載していません。一方で、HSMを内蔵するTelemaco3Pは、同製品は極めて高い堅牢性と最大105℃の動作温度範囲を実現しており、ルーフの上や直下に設置されるスマート・アンテナの内部など、高温環境下の使用を可能にしています。

STのオートモーティブ & ディスクリート グループ、インフォテインメント・ビジネス・ユニット ディレクターであるAntonio Radaelliは、次のようにコメントしています。「コネクテッド・カーを最大限に活用していくするには、サイバー攻撃に対する強力な保護機能が欠かせません。新しいTelemaco3Pは、STのハードウェア・セキュリティ技術で実証済みのノウハウと、自動車業界の規格や要求に関する知見を組み合わせることで、安全で楽しいコネクテッド・ドライビング体験を実現します。」

 

また、この新しい車載用プロセッサは、セキュリティ機能内蔵の製品を提供するSTの包括的な戦略の一部です。セキュリティ製品には、スタンド・アローン型のセキュア・マイコン(ST33)や、Flashメモリ内蔵の車載用マイコン(SPC5xファミリ)が含まれています。

STA1385は、現在サンプル出荷中で、2018年中頃に量産が開始される予定です。

技術情報:
対称暗号方式と非対称暗号方式を含む最先端のセキュリティ技術に加えて、このHSMはソフトウェア・セキュリティ・アルゴリズムを動作させることができるため、メインの高性能CPUではさらなる自由度が得られ、より高度なアプリケーションの処理も可能です。Telemaco3Pファミリは、CAN FD(データ転送速度がフレキシブルな新しいCANバス)、ギガビット・イーサネット、およびセキュア・デジタルI/O(SDIO、通信速度100Mbit/s)インタフェースを搭載しており、、車内の通信ゲートウェイとして、インフォテイメント・システムやCANバス接続のECU(ドア制御、エンジンやトランスミッションの制御システムなどの車載エレクトロニクス)と接続して使用することができます。必要不可欠となる電源制御回路も搭載されているため、設計の簡略化、小型化、および部材コストの削減が可能です。

STA1385は、車載用の機能安全規格であるISO 26262の安全性レベルB(ASIL-B)に準拠し、CANバスによるセキュアな通信に関するAUTOSARの仕様に適合しています。Telemaco3PファミリはPOSIX準拠のオペレーティング・システム(OS)を動作させることが可能なため、さまざまな用途に応じて最適なOSを選択することができます。

[1] http://www.gartner.com/newsroom/id/2970017