SoM SiP for embedded processing in industrial systems

スケーラブルなソリューションでSTM32MP1マイクロプロセッサを使ったシステム開発を加速

概要
SoMソリューション
SiPソリューション
ディスクリート・ソリューション
プロジェクト全体にわたるコスト分析
まとめ
 
som sip Industry 4.0

Industry 4.0において、企業はさまざまな技術およびマーケティングの課題に直面しています。また、長期にわたり生き残るソリューションを提供して市場シェアを獲得するために、生産能力や投資、経営方針、および意思決定プロセスのバランスを取る必要があります。

そのため、新しい技術を活用した製品開発競争に伴うリスクとメリットを理解することはきわめて重要です。EE Timesの最近の調査(1)によると、開発プロジェクトの約60%が予定より遅れて進行しており、このような事態を回避するために新しい業務モデルが必要になると言われています。とりわけ、デバッグと各マイルストーンの達成が主な原因として遅れに影響しています。

一例として、新しい産業用マイクロプロセッサ・ベースのシステム開発が必要なアプリケーションを考えてみましょう。このようなシステムは、一般的にマイクロプロセッサ、DDR SDRAM、不揮発性メモリ、I/O、パワー・マネージメント、および補助部品や受動部品から構成されており、集積化を行う上で次のような課題に直面する可能性があります。

  • DDRメモリとイーサネット物理層(PHY)の高速I/Oリンクを備えた高速インタフェースに対して、信号の完全性とEMC要件への適合を保証する基板レイアウト設計
  • 堅牢かつ信頼性の高いパワー・マネージメントの設計

上記のような開発リスクや課題を回避し、アプリケーション開発の加速に貢献するソリューションとして、以下2つのアプローチが挙げられます。

  • システム・オン・モジュール(SoM)アプローチ
  • システム・イン・パッケージ(SiP)アプローチ

アナリストがシステム・オン・モジュール(SoM)市場(2)とシングルボード・コンピュータ市場の着実な成長を予測する中、業界ではこれら2つのソリューションに注目が集まっており、ますます普及が進んでいます。

Industry 4.0およびインダストリアルIoT(IIoT)アプリケーションにおけるシステム・オン・モジュール(SoM)またはシステム・イン・パッケージ(SiP)ソリューションの導入による市場機会、コストにおけるメリット、およびその他の重要な特徴に関する解説により、最適なソリューションの選択をサポートします。

また、マイクロプロセッサ・ベースの産業用システム開発におけるSoM、SiP、およびディスクリート・ソリューションそれぞれのメリットや、スムーズな開発スタートに貢献する有用なリソースやヒントなども紹介します。

SoMソリューションのメリット

SoM(システム・オン・モジュール)
システム・オン・モジュール(SoM)は、マイクロプロセッサ、PMIC、DDR SDRAM、Flashメモリ、および受動部品を搭載した小型PCBです。必要に応じて、Wi-FiやBluetoothコネクティビティなどの機能を追加することもできます。SoMはマザーボード上に直接はんだ付けするか、コネクタによって接続することができます。ハードウェア設計とソフトウェア開発の加速およびコスト削減を実現します。

コンピュータ・オン・モジュールまたはシステム・オン・モジュール(SoM)のインテグレータは、マイクロプロセッサ、パワー・マネージメント、DRAMとFlashメモリ、および受動部品を内蔵したテスト / 認証済みモジュールにより、開発リスクの低減に貢献します。また、SoMメーカーは、アプリケーションの移植を簡略化するために、ハードウェアだけでなくソフトウェアのボード・サポート・パッケージ(BSP)も提供しています。

さらに、顧客の開発に高度なサポート・サービスを提供するローカルのサポート・チームと、SoMの技術提供を組み合わせることで、企業は自社のリソースをアプリケーションの主要機能や差別化要因の開発に集中させることができます。SoMソリューションの採用は、モータ制御やワイヤレス通信などのハードウェア機能だけでなく、ソフトウェア開発に関して最適化されたリソースを割り当てたい場合にきわめて有効です。また、企業は複雑な基板設計における課題ではなく、自社の専門分野に作業の重点を置くことで、開発リスクを低減することも可能です。

この業務モデルを採用することで、企業はプロジェクトのリスク低減や、ハードウェア・プラットフォームと低レベル・ソフトウェアの開発コスト削減を行うことができます。また、製造および調達を円滑に進めることもできます。これらのメリットにより、図1に示すように、完全ディスクリート・ソリューションを開発する場合に比べて、開発期間を大幅に短縮することができます。(3)

図1: SoMソリューションと完全ディスクリート・ソリューションの比較
図1: SoMソリューションと完全ディスクリート・ソリューションの比較

SMARC、Q7、microQ7などの規格への準拠に加えて、一部のSoMプロバイダはコネクタも取り除き、SoMをマザーボード上に直接はんだ付けできるようにしています。これにより、コネクタを除去して片面基板とすることで、コストをさらに削減することができます。

そのため、SoMを実装して、さまざまなケースで安全に設計を開始することが可能です。また、アプリケーション全体をディスクリートで設計する場合に比べ、生産フェーズを大幅に加速させることもできます。

図2: SoMアプローチによるメリット
図2: SoMアプローチによるメリット

迅速な製品投入により市場シェアを拡大

SoMソリューションは、ディスクリート・ソリューションと比較して開発コストを抑えることができる一方、生産数によってはディスクリート・ソリューションよりも単価が高くなる可能性があります。そのため、予定生産量を考慮しつつSoMまたはディスクリートを選択する必要があります。

表1に、SoMソリューションとディスクリート・ソリューションを比較し、その特徴を表しています。

課題 完全ディスクリート・ソリューション SoMソリューション 特徴
システム・リスク * *** 新しいアプリケーションを設計する際のリスクを低減
開発コストの削減 * *** IP開発および付加価値機能を強化
製造時の調達 * *** 生産サイクルの簡略化により発注・管理を1製品に集約
長期供給保証 * *** 供給はシステム・プロバイダに一任
システム・コスト * ** 基板への実装を最適化
製品開発期間 * *** 市場シェアを獲得
表1: SoMソリューションとディスクリート・ソリューションの比較

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SiPソリューションのメリット

SiP(システム・イン・パッケージ)
SiPモジュールは、マイクロプロセッサやパワー・マネージメントIC、DDR、受動部品や水晶発振子など、必要な電子部品を全てBGAパッケージに集積しています。マザーボード上にはんだ付けすることができます。SiPは、電子システムの設計の簡略化に貢献します。

SiPは、必要なICをすべて1パッケージに集積したものです。例えば、マイクロプロセッサやパワー・マネージメントIC、メモリ、水晶発振子、および受動部品のすべてを、比較的実装面積が小さいBGAパッケージに集積することができます。

SiPは、開発者があらかじめ高度な設計を行い、必要なサイズを把握している場合に最適なアプローチです。コードが最適化され、評価されていれば、SiPを採用することで実装リスクを低減し、アプリケーションの主要機能の開発に注力することができます。

SiPの実装は、スペースに制約があるアプリケーションにおいて、プリント基板の最適化に大きく貢献します。また、BSP(ボード・サポート・パッケージ)の提供により、迅速なソフトウェア開発をサポートし、製造 / 調達フェーズの効率化の促進に貢献します。

図3: SiPソリューションとディスクリート・ソリューションの比較
図3: SiPソリューションとディスクリート・ソリューションの比較
課題 完全ディスクリート・ソリューション SiPソリューション 特徴
システム・リスク * *** 新しいアプリケーションを設計する際のリスクを低減
開発コストの削減 * *** IP開発および付加価値機能を強化
製造時の調達 * *** 調達の簡略化により発注・管理を1製品に集約
最終製品の歩留まり向上に貢献
長期供給保証 * *** 他社製ICの提供や受動部品の調達はSiPプロバイダに一任
システム・コスト * ** 基板サイズとレイヤ数を最適化
サイズの最適化 * *** サイズが最も重要となるアプリケーションに最適
製品開発期間 * *** 迅速な製品投入により市場シェアを獲得
表2: SiPソリューションとディスクリート・ソリューションの比較

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ディスクリート・ソリューションのメリット

ディスクリート・ソリューション
必要なICをすべてメイン基板上に直接はんだ付けする完全ディスクリート・ソリューションは、量産品を大量に販売し、開発コストを回収したい場合に適しています。

STおよび販売代理店のフィールド・アプリケーション・エンジニア(FAE)は、開発フェーズにおける技術的課題の解決や、STが提供する組込みソフトウェアやSTM32開発エコシステムなどに関する個別トレーニングを通じてお客様をサポートしています。

また、STパートナー・プログラムを活用することで、より迅速に製品を市場に投入することができます。STの認定パートナー企業は、トレーニングやソフトウェア開発、セキュリティ機能、グラフィック・デザインなど、さまざまなスキルやサービスを提供し、開発の初期段階をスムーズに進めることができるようお客様をサポートします。

図4: ディスクリート・アプローチによるMPUベースの設計で推奨されるステップおよびサービス
図4: ディスクリート・アプローチによるMPUベースの設計で推奨されるステップおよびサービス

プロジェクト全体にわたるコスト分析

開発、製造、メンテナンス、およびサポートなど、プロジェクト全体におけるコストは慎重に分析する必要があります。最近の調査(1)では、ソフトウェア開発のリソースがハードウェア開発のリソースを平均で約50%上回ることが報告されています。

ボード・サポート・パッケージ(BSP)が付属したSoMまたはSiPは、ハードウェア開発のコストを削減するだけでなく、ソフトウェア開発の最適化にも貢献します。

ディスクリート・ソリューションでは初期投資が必要となりますが、コストが重視されるアプリケーションや量産などを総合的に考慮したディスクリートICソリューション開発コストを分析することで、戦略的に回収していくことができます。

課題 完全ディスクリート・ソリューション SoMベース・ソリューション SiPベース・ソリューション 特徴
単価 *** * * 開発コストは大量生産によって吸収
テクニカル・サポート ***     STと販売代理店によるテクニカル・サポート
SoM / SiPメーカーの関与なし
パートナー企業によるサポート(ソフトウェア、セキュリティ、グラフィックスなど) *** *** *** STパートナー・プログラムにより、ST、SoMおよびSiPメーカーはパートナー企業と協力してエンド・ユーザをサポート
表3: ディスクリート・ソリューションの選択ガイド

まとめ

テクニカル・サポート、アプリケーションのサイズ、ソリューションの柔軟性、目標生産数、調達、開発リスクなど、ソリューション・プロバイダが自社の要件や制約事項に応じて選択できる実装アプローチについて解説しました。

STは、STM32MP1マルチコア・マイクロプロセッサ・ポートフォリオをベースにしたSoM、SiP、およびディスクリート・ソリューションにより、お客様のニーズや実装要件に対応するソリューションを提供しています。また、広範なSTパートナー・プログラムにより、世界中のシステム・メーカーおよびイノベータの市場シェアの拡大や収益増加に貢献します。