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誘導モータ制御

AC誘導モータは、構造が最もシンプルで最も信頼性の高い電気ACモータで、その消費電力は数Wから数kWまで様々です。そのようなモータの設計および制御方法は、単相入力の低コストのものから、多相アプローチによる高精度のものまで多岐にわたります。このタイプのシステムは、コンスーマ製品から産業分野に至るまで最も広く使用されているモータです。

3相AC誘導モータ(ACIM)

3相誘導モータでは、ステータのコイルに対して順番に3相で供給される電流を使用して、回転する磁場を生成します。これにより、コイル状またはかご状に電場が誘導され、ロータを駆動します。ロータの同期速度と回転磁場速度間の差異は、滑りと呼ばれます。
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製品 & ソリューション

STは、さまざまなタイプのパワー半導体およびICを提供しています。ディスクリートIGBTおよびパワーMOSFETに加えて、高効率の可変周波数駆動(VFD)モータ制御の実装に必要なパワー・モジュールやインテリジェント・パワー・モジュール(IPM)、高電圧ゲート・ドライバおよび高性能STM32マイクロコントローラなどが含まれています。 

また設計サイクルの簡略化や設計加速に貢献する評価ボードやリファレンス設計、ファームウェア、および開発ツールを含む包括的な開発エコシステムも提供しています。

誘導モータの動作原理

誘導モータは、ステータ(固定巻線)を流れる交流電流を使用して、ロータとなる金属製のかごまたはワイヤ巻線の磁場を誘導します。電場と磁場の相互作用によって、可動部分の間にスリップ・リングによる接続がなくてもモータが駆動し、高い信頼性を提供します。 

モータ速度制御 

モータ速度の制御は磁場の回転速度によって決まり、磁場の回転速度はAC電流の周波数と極の数によって決まります。ステータのAC電流からの回転する磁場により、ロータに磁束が誘導され、電場と磁場の相互作用によって回転が生じます。 

ロータに誘導された電流によって、ステータの磁束電流が衰えるため、ロータが最高回転磁場速度(同期速度とも呼ぶ)に達することはありません。 

単相固定周波数AC電流は、その周波数で固定速度が生み出され、家庭用電気機器の小規模な負荷を駆動するために使用されます。 

可変周波数ドライブ(VFD)は、ファンやポンプ、およびコンプレッサによく使用され、モータ速度を制御できます。 3相誘導モータは、モータの制御および位置決めの精度が高く、動きがより滑らかです。このモータには5つ以上の極があり、複数の設計方式があります。これらの多相設計では、モータの位置決めの精度が高く、ポンプを通した流体の正確な送出や、さまざまな種類の羽の位置決めが可能ですが、より複雑な制御システムが必要です。これらのモータ制御システムも、単純なスカラ・システムからさまざまなタイプのフィールド指向制御(FOC)またはベクトル制御アルゴリズムにまで進化しています。

誘導モータの主なタイプ

誘導モータの構成には主に2つのタイプがあります。1つは巻線形ロータ、もう1つはかご形ロータです。かご形ロータは、積層された鋼製の円筒であり、その表面にアルミニウムまたは銅製の導体が埋め込まれ、そこに磁場が誘導されます。 

誘導モータは、巻線形とかご形の双方において固定または可変周波数の単相または3相AC電流で駆動でき、家庭内の小型モータから大型ポンプやコンプレッサを駆動する大型工業用モータまで幅広い性能のものがあります。これもまた、広範な制御システムの必要性につながります。 

単相誘導モータには、始動トルクを提供するスタータ設定が必要ですが、3相モータは、異なる相を操作してロータを始動できるため、セルフスタートが可能です。力率制御および直接トルク制御により、3相誘導モータ駆動の性能を向上させることもできます。