パリ造幣局が世界初のコネクテッド・コインを開発

世界最古の造幣機関であるパリ造幣局は、STと協力し、伝統とイノベーションをこれまでにない形で融合した世界初のコネクテッド・コインという新しい貨幣カテゴリを創造しました。ギュスターヴ・エッフェルの遺産を記念するこの硬貨は、NFC(近距離無線通信)テクノロジーを搭載しており、硬貨収集の世界を初めてデジタル時代に導きます。コネクテッド・コインのコンセプトは、一見簡単なように見えますが、その実現には大きな技術的課題がありました。それは、金属と電磁場が水と油のような関係にあることです。パリ造幣局は、この大きな課題の解決に向けてSTのエキスパートに協力を求めました。

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課題

  • 新たな貨幣カテゴリの創造:世界初のコネクテッド・コイン
  • 伝統とデジタル体験の橋渡し
  • 金属製品へのシームレスなコネクティビティ
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ソリューション

  • ST25 NFCタグICを統合した完璧なコネクティビティ性能
  • ST25 NFCタグICを使用したブロックチェーンを活用
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効果

  • ブランド体験:コネクテッド・コインにより顧客エンゲージメントが大幅に向上
  • ブランド保護:ブロックチェーン・ベースのデジタル真正性証明書

目標 — 伝統とデジタル体験の橋渡し

パリ造幣局は長年、精密な貨幣鋳造技術の代名詞的存在でしたが、ギュスターヴ・エッフェル自身の先見性を反映した大胆な一手として、新たにST25 NFCタグICを取り入れました。この硬貨に組み込まれた小型ながら強力でバッテリ不要の製品は、硬貨を安全にデジタル化する手段を提供します。

ST25 NFCタグICは、硬貨の有形資産価値とデータやコネクティビティといった無形世界の橋渡しをします。硬貨所有者は、タップするだけでデジタル証明書、硬貨の詳細な仕様、ギュスターヴ・エッフェルの生涯と作品に関する独占コンテンツなどの豊富な情報やサービスにアクセスできます。硬貨コレクターからも、一般の人々からも好意的な反応を受けています。

最新のNFCテクノロジーを活用したコネクテッド・コインにより、私たちはフランス最古の機関が自らを再発明し、その未来を描くことができることを示しました。

Marc Schwartz氏, パリ造幣局 最高経営責任者(CEO)

金属製品へのコネクティビティの実現

パリ造幣局は、千年以上にわたり、貴金属を使用してその遺産に磨きをかけてきました。中でも、銀はその遺産の中核を成す金属です。伝統を守ることに努める一方、コネクティビティに対する金属の干渉は広く知られており、大きな課題となっていました。ここで役に立ったのがSTの専門性でした。STのエキスパートは、ユーザ体験が最優先される状況で、わずか12mmのST25 NFCタグICが完璧な性能を確実に発揮するようにしなければならず、彼らの研究開発能力がコネクテッド・コインの成功においてきわめて重要でした。STのエキスパートは、綿密なプロセスを通じてサイズ、周波数、テスト環境の正確なパラメータを特定し、ST25 NFCタグICが金属環境で期待以上の性能を確実に発揮するようにしました。

コインそれ自体は別として、このコネクテッド・コインは、STのエキスパートが提供した比類なき技術知識と厳しいテストにより実現しました。

Pascal Rencker氏, パリ造幣局 イノベーション & 研究開発責任者

成果 — 唯一無二のブランド体験

ST25 NFCタグICの採用は、顧客エンゲージメントの大幅な向上につながりました。コレクターは、硬貨一枚一枚が単に価値のある物質ではなく、より豊かな物語への入り口となるインタラクティブな体験ができるようになっています。ST25 NFCタグICの特徴は、ブランド保護におけるその極めて重要な役割にあります。タグを読み取ると、特定のソフトウェアによってデジタル所有証明書が生成されます。このソフトウェアは、ブロックチェーン・テクノロジーに支えられており、改ざん防止記録を提供することで、硬貨の真正性と来歴を保証します。これらは世界中のコレクターにとって不可欠な要素です。

独自のソフトウェアを介したブロックチェーンへのアクセスを可能にするST25 NFCタグICの能力は、ブランド保護の強化を目指す上で必要不可欠なものとなっています。

Pascal Rencker氏, パリ造幣局 イノベーション & 研究開発部長

STがブランド製品のデジタル化を簡単に

NFCタグICをさまざまな製品に統合するためには、チップ・メーカーとのパートナーシップだけでは不十分です。そこでSTは、「ST25Connectプログラム」として、インテグレータやリーダ・メーカー、シールド・キャリア、カスタム・アンテナ・メーカー、ラボ試験サービスなど幅広いパートナーへのプレミアム・アクセスを提供しています。この共同開発エコシステムが製品の迅速な開発と最適化を実現し、コネクテッド・コインがパリ造幣局の定める高い基準を十分に満たすことを可能にしました。

ST25Connectプログラムにより、すべてのテストを含めて24カ月以内に世界初のコネクテッド・コインを開発することができました。

Pascal Rencker氏, パリ造幣局 イノベーション & 研究開発部長

パリ造幣局について

パリ造幣局は、864年以来、国の貨幣鋳造という本来の使命を追求してきました。フランス最古の機関であると同時に、世界最古の企業の1つとして、パリ中心部の歴史地区で運営されています。18世紀の建物の扉の奥に市内で最後の稼働中の工場があり、メダルや硬貨、装飾品、美術品などの優れた製品を生み出すことで、芸術的技能を支えています。

パリ造幣局のロゴ