SpaceX社がインターネット接続可能なエリアを拡大した方法とは
宇宙からブロードバンド通信を提供するという構想は、長年にわたり将来のビジョンとして語られてきました。しかし、その実現は極めて困難と考えられていました。しかし、SpaceX社はそれを変えました。同社はStarlinkの構築により、低軌道衛星を実用的な通信ネットワークに変え、現在では世界160カ国以上、1200万人以上のユーザ1にサービスを提供しています。これは、過疎地、遠隔地の現場、海上、または従来のインターネット・インフラが届かない場所にいる人々にとって重要です。Starlinkとは、単なるロケットや衛星のストーリーではなく、非常に複雑なシステムを大規模に展開するために必要な高精度な工学技術、製造体制や半導体技術に関わるストーリーで、STはそれに貢献しています。
課題
- 低軌道衛星による世界中の家庭や企業への信頼性の高いブロードバンド通信の提供
- 非常に複雑なコンスーマ用フェーズド・アレイ・アンテナの設計と製品化
- 性能・品質・コスト競争力の維持と製品の量産化
- 長期的な技術ロードマップによる次世代の衛星や端末のサポート
ソリューション
- SpaceX社とSTエンジニアによる10年に及ぶ共同設計
- 高性能フェーズド・アレイ・アンテナを支えるSTのBiCMOS技術
- 量産を可能にする革新的なパッケージング・アプローチ(PLP)
- 衛星間レーザー・リンクをサポートするSTM32V8マイコンのFD-SOI技術
- Starlinkシステムを支えるSTM32マイコン、セキュア・エレメントおよびGNSS IC
効果
- グローバル・ブロードバンド・プラットフォームとしてのStarlinkの実現をサポート(1200万以上の利用者にサービスを提供)
- 毎週13万人を超える新規加入者の獲得を支える製造体制をサポート
- 数百万台の端末で使用されている数十億個の共同設計製品に貢献
- 160カ国以上で高速インターネットを提供
- 次世代のStarlink衛星および端末の基盤を構築
Starlinkのプラグ・アンド・プレイ体験の舞台裏
Starlinkの白い端末は一見シンプルで、接続し、空に向けるだけで使えます。しかし、そのシンプルさの裏には非常に複雑なシステムがあります。端末は、高速で移動する衛星コンステレーションとの接続を維持し、厳しい気象条件下でも確実に動作し、品質やコストを犠牲にすることなく量産できなければなりません。これほど厳しい要件が求められるハードウェア・プラットフォームは他にほとんどありません。
![]()
“
STとのパートナーシップは、Starlinkが求める規模と性能の実現に欠かせない存在です。”
Gwynne Shotwell氏, SpaceX社 社長 兼 最高執行責任者
SpaceX社がSTのテクノロジーを採用する理由
その実現を支えている大きな要因の1つが、電力供給に役立つSTのBiCMOS技術に関する深い専門性です。優れたKバンドRF性能により、Starlink端末に搭載される高性能フェーズドアレイ・アンテナを支えています。これらのアンテナは、27,000km/hで移動する上空の衛星を追尾し、衛星をスムーズに切り替えることができ、遠隔地でも安定した超高速ユーザ接続の実現に貢献します。しかし、課題は性能だけではありませんでした。SpaceX社は量産手段も必要としていました。そこで、STは量産能力とコスト効率の向上に向けて、パッケージングの抜本的なイノベーションとして、チップを個々のウェハではなく、大きなパネル上で組み立て、処理する、パネルレベル・パッケージングに基づく新しい製造プラットフォームを導入しました。その成果は非常に大きく、現在では1日500万個を超えるRFチップの量産が実現し、Starlinkが多くの人々の予測を上回るスピードで事業を拡大することに貢献しました。
![]()
“
STとの協力を通じて、これからも高速インターネットをより多くの人々へ届けていきます。”
Gwynne Shotwell氏, SpaceX社 社長 兼 最高執行責任者
STの貢献はユーザ端末にとどまらず、より大型のフェーズドアレイ・アンテナを搭載した衛星自体にまで及んでいます。Starlinkはまた、SpaceX社が地球低軌道上のStarlink衛星を超高速で相互にリンクするミニ・レーザ・システム用にSTのFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)技術が使われているSTM32V8マイクロコントローラを使用しています。
Starlinkが次世代の衛星や端末を開発する中、SpaceX社とSTの協力は、宇宙を利用したコネクティビティの次の段階を形作るテクノロジーに引き続き重点を置いていきます。