
Matter向けのSTM32マイクロコントローラ・ソリューション:スマート・ホームでデバイス間の円滑な相互運用を約束

Matterは、Connectivity Standards Alliance(CSA)が管理する、オープンソースの相互運用性に関する規格です。
Matterは、スマート・ホームやスマート・ビルディング向けに設計されており、異なるIP通信テクノロジーにまたがる接続デバイスの間でシームレスなインタラクションを実現します。Matterはデータのプライバシーを保ちながら、複数ブランドの接続機器がシームレスに連動できるようにするため、エンド・ユーザはデバイスの相互運用性について心配する必要がなくなります。
Matterは、オープンソースの配信や認証インフラストラクチャで多数のアプリケーションに対応しており、幅広い分野への導入が可能なアプリケーション・レイヤです。

「スマート・ホーム・デバイスはセキュアで信頼性が高く、シームレスな相互利用が可能であるべきです。Matterはそれを実現できます」
Matterネットワークに接続されたデバイスの役割
スマート・ホームでは、Wi-FiやThreadテクノロジーを介して接続されたデバイスが、Matterネットワーク内でそれぞれの役割を果たします。

こうしたデバイスは、ネットワーク通信プロトコルとして、Wi-Fi、Ethernet、Threadなどの通信方式を採用しています。これに加え、「コミッショニング」、つまりユーザが新しいデバイスを既存のネットワークに追加する操作を可能にするために、Bluetooth® LEテクノロジーへの対応も必要になります。
- エンド・デバイス:照明やドア・ロックなどの最終アプリケーションを制御する通信端末です。
- ルータ / ブリッジ:ゲートウェイなどのオブジェクトは、エンド・デバイスからのデータを異なるプロトコル間で転送
します(Wi-FiからThreadなど)。 - コントローラ:エンド・デバイスをMatterネットワークにコミッショニングする際に使用されるスマートフォンやタブレットなどのデバイスです。
コントローラは、Bluetooth LEをサポートします。
Matterテクノロジーを非Matterテクノロジーに接続するには?

Matterネットワークで動作するSTM32WBワイヤレス・マイクロコントローラ
- マルチプロトコル機能:STM32WBは、デバイスのコミッショニングに必要となるBluetooth LEおよびThreadをコンカレント・モードで実行可能
- 1MBのFlashメモリと256KBのRAMを備えた大容量メモリによる、アプリケーション・レイヤとコネクティビティ・スタックのサポート
- その場で実行でき、メモリ・サイズを外部へ拡張できるQuad SPIペリフェラル
- あらゆるアプリケーションおよびコネクティビティ・スタックのOver-The-Air(OTA)ファームウェア更新
STM32WBマイコンでは、NUCLEO-WB55RGに加え、Matter上で動作するアプリケーションに対応したセンサ、外部Flashメモリ、画面、タッチ・センサといった広範囲な機能を提供するSTM32WB5MM-DKディスカバリ・ボードを準備しています。


Matter規格に準拠し、各種デバイスに適したSTM32マイクロコントローラを取り揃えています。
Matter対応のデバイスの種類 | コネクティビティ | スタンドアロンのワイヤレス・マイクロコントローラ | ホスト制御アーキテクチャ(マイクロコントローラ / マイクロプロセッサ + 無線コンパニオン) |
Matterゲートウェイ(ボーダー・ルータ) | Thread RCP Ethernet / WiFi | - | RCP STM32H7 + STM32WB STM32MP1 + STM32WB |
Matter over Threadエンド・デバイス | 同時動作Thread – Bluetooth LE | STM32WB* | NCPモデル STM32H7 + STM32WB STM32U5 + STM32WB STM32MP1 + STM32WB |
非Matterテクノロジーと接続するMatterブリッジ | 任意** | - | NCP STM32H7 + STM32WB STM32MP1 + STM32WB STM32H7 + STM32WL STM32MP1 + STM32WL |
** Matterから他の任意のテクノロジーへのブリッジを行うデータ・モデル
STM32WBでは、Nucleo-WB55RGなどの多数の開発ボードに加え、広範囲な機能群、センサ、Flashメモリ、画面、タッチ・センサを提供してMatterがカバーする多数のアプリケーションを素早くプロトタイプできるSTM32WB5MM-DKディスカバリ・ボードを準備しています。
メリット
- あらゆる種類のMatter対応デバイスをカバーするSTの製品ポートフォリオ
- バッテリ動作デバイス向けの低消費電力ソリューション
- 迅速な開発を可能にする総合的なエコシステム
- Matterに不可欠なマルチプロトコル・ワイヤレス・サポート
- 寿命要件を満たす製品品質保証
スマート・ホーム・デバイスからMatterネットワークにブリッジする方法
IoTデバイスの多くはZigbeeに対応しているため、将来的にMatterも利用できるようになる計画です。サポートするインフラストラクチャには、MatterベースのデバイスとZigbeeベースのデバイスとの間の通信をブリッジするソリューションが必要です。
ブリッジ・デバイスは通常、Ethernet機能を備えた高性能マイクロコントローラを統合しており、コネクティビティ製品と接続できます。
デュアルコアSTM32H7マイクロコントローラは、この役割を果たすためにぴったりの機能を有しています。このマイクロコントローラにはMatterレイヤの組込みが可能で、Zigbeeプロトコルとの間で相互に変換できます。
STM32によるMatterブリッジの概念実証

STM32向けMatterソフトウェア・サンプル
STは、以下の2つのユース・ケースについて、STM32マイコンとMatterの使い方を示すプロジェクト・サンプルを提供しています。
すなわち、2.4GHzワイヤレス・マイコンのSTM32WBシリーズ上に実装したMatter over ThreadデバイスとRCPモードのゲートウェイのデモ・サンプルと、STM32H7高性能シリーズをベースとしてMatterテクノロジーから非Matterテクノロジーへのブリッジを形成する手順を示すサンプルです。
これらのプロジェクトは、2023年第3四半期に計画されているSTの公式オファーのプレビューで、実績あるSTM32Cube開発エコシステムに完全に統合される予定です。詳細は随時お伝えしていきますので、引き続きご注目ください。