火災の4件に1件は電気の問題によって引き起こされていることをご存じでしょうか? そのほとんどはアーク放電が原因です。 そのため、アーク放電をできる限り早く検出し、対応することが非常に重要です。
市場が進化するにつれて、ソーラー・パネル、バッテリ、電動工具、電動バイクなど、アーク放電保護のために一層のイノベーションを必要とする新たなタイプのアプリケーションが登場しています。
電気設備の安全性を改善するルール・ベースのアルゴリズムはすでに存在していますが、その適応性は限られていることに加え、誤検出が多数発生するため、機械の歩留まり低下を招きます。 また、クラウド・ベースのAIソリューションもありますが、精度は優れているものの遅延やプライバシーの問題を伴います。
そこで最良の解決策を提供するのが組込みAIソリューションです。 このソリューションは、接続や外部処理が不要で、瞬時の検出と対応が可能なことに加え、データがデバイス上でローカルに処理されるため、プライバシーやセキュリティの問題を解消します。 また、さまざまな環境を継続的に学習し、適応できるため、誤検出率の低減と効率の向上も実現します。
このユースケースでは、組込みAIと
STM32を使ってカスタムされたアーク放電検出メカニズムを簡単に構築する方法をご紹介します。
アプローチ
今回、わかりやすいインタフェースと使いやすさを理由に、
NanoEdge AI Studioツールを選びました。 NanoEdgeは、ユーザのデータに基づいて最適なモデルを自動的に選択・生成します。 もし学習済みニューラル・ネットワーク・モデルがあれば、
STM32Cube.AIを使用して圧縮し、組込み環境での使用に最適化できます。
アプローチは以下のとおりです。
- このデモでは、STM32G4を中心とするカスタム・アーク放電回路遮断器(AFCI)ボードを使用しました。
- まず、セットアップから正常動作データとして、合計約1,000の信号を収集しました。
- その後、アーク放電時データとして、同様に約1,000の信号を収集しました。
- 両方の信号セットをNanoEdge AI Studio内の分類プロジェクトにインポートしました。
- その後、ツールによってこのプロジェクトに最適なAIライブラリを生成し、そのライブラリを電流の監視およびアーク放電が検出された場合にアラートのトリガを実行するコードに統合しました。
センサ
電流センサ
データ
2クラスのデータアーク放電あり、アーク放電なし
長さデータ2048 * 1軸
データレート150kHz
結果
2クラス(アーク放電なし & アーク放電あり):
精度:100%、使用RAM:16.7KB、使用Flashメモリ:0.5KB緑の点は、判定が目視検査に合格するかどうかを正しく予測できることを意味します。
赤い点は予測が誤りであったことを意味します。