工場のワークフローを変えるヒューマノイド・ロボット
現代の工場や倉庫では、ロボットはもはや重量物を持ち上げたり、パレットを移動させたりするだけの存在ではありません。工程の中でも特に繊細で難易度の高い作業、すなわち従来は人の手に委ねられてきた作業を担えるようになりつつあります。ロボティクス企業のRuiyan Intelligent Control Co., Ltd.(深圳市睿研智能控制有限公司、以下Ruiyan社)は、人が危険にさらされる環境で作業を代替しながら、産業用途に求められるスピードと精度を提供できるヒューマノイド・ロボットハンドを開発しました。各ロボットハンドの手のひらの中心には、STのチップで構築されたコンパクトな「電子神経系」が搭載されており、ロボットが人と安全かつ正確に協働するために必要な精密制御を可能にしています。
課題
- 工場や倉庫で、人が担ってきた繊細で高精度な手作業を安全に代替できるヒューマノイド・ロボットハンドを開発
- 手のひら内部の小型ボード(6cm x 6cm)に、多軸モータ制御、センシング、保護機能を集約
- 狭い機構内部でも過度の発熱を抑え、かさばる冷却機構が不要で、人の手のような強い把持力を実現
- 過酷な産業環境においても、信頼性の高い長時間稼働と人間との協働を支援
ソリューション
- STM32マイコンにより、5本指を6自由度で協調制御
- STM32マイコンの高度なタイマと高精度ADコンバータにより、正確なモータ同期制御と連続的な位置とトルクのフィードバックを実現
- STのモータ・ドライバ、DC-DCコンバータ、低電圧MOSFETにより、エネルギー損失と発熱を抑えながらモータの高トルク駆動を実現
- STの過渡電圧サプレッサ(TVS)でロボットのコンパクトな電気回路を保護
効果
- 危険作業や反復作業の自動化によって、作業者の安全性を高めるとともに、より付加価値の高い業務への人的リソース配分に貢献
- 人手不足、需要ピーク時、突発的な混乱が発生した場合でも、工場の継続的な操業を支援
機敏なデクスタラス・ロボットハンドの設計
産業オートメーションにおいて真に有用なヒューマノイド・ロボットハンドを実現するには、人間の手がネジからガラス瓶へ持ち替えるときのように、さまざまな形状、重量、材質に応じて把持動作と力加減を柔軟に調整できなければなりません。Ruiyanは、手のひらに収まるわずか6cm x 6cmの6層プリント基板1枚に、ロボットハンドの制御システム全体を実装することで、これを実現しました。STM32マイコンが中央コントローラとして機能し、5本指を6自由度で協調制御します。同時に、STの複数の高精度ADコンバータがセンサ値を連続的に読み取り、指の位置と把持力を正確に把握します。
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当社の6自由度デクスタラス・ロボットハンドでは、搭載ICの90%以上にST製品を採用しています。”
Paul Tian氏, Ruiyan社 最高経営責任者(CEO)
高出力化に伴う発熱をどう抑えるか?
ロボットハンド内部では、空間と温度の管理は力と同じくらい重要です。限られたスペースに大きな電力を詰め込めば、小さな車にレース用エンジンを載せるようなもので、熱と応力が即座に問題になります。Ruiyan社は、STのモータ・ドライバを採用することでこれに対処しています。STのモータ・ドライバICは、内部抵抗を低く抑えて設計されており、電流が流れる際に熱として失われるエネルギーを低減できます。また、モータに必要な電流を効率よく供給できるため、各関節の正確な動作に必要なトルクを確保できます。こうした特長により、ロボットハンドは幅広い作業において、過熱を抑えながら十分な力を発揮できます。発熱が少ないことは、24時間稼働の産業環境で重要となる部品の動作信頼性向上にもつながります。さらに、大型の冷却システムが不要なため、スリムかつシンプルなシステム設計を維持したまま、器用な指機構のためのスペースをより多く確保することができます。
多品種混流生産におけるヒューマノイド・ロボットの実用価値向上
より実際的に言えば、分秒を争い、わずかなミスにもコストが伴う製造現場で、器用なヒューマノイド・ロボットは何をもたらすのでしょうか。STのテクノロジーをベースとするRuiyan社のロボットハンドは、0.6 mmの指先位置決め精度を実現しており、これはクレジット・カード1枚分の厚さに相当します。また、最大握力は160Nに達し、人が力を込めて握るときに近いレベルの把持力を発揮します。そのため、重い工具を把持した直後でも、すぐに力加減を切り替えて壊れやすい物体を扱うことができます。こうした閉ループ・フィードバックに加え、1000時間を超える連続稼働を想定したシステム設計により、ロボットハンドはリアルタイムに調整を行いながら、工場で長時間連続して作業することができます。
製造業にとって、ヒューマノイド・ロボットは、製品構成の変化に柔軟に対応できる自動化プラットフォームを意味します。Ruiyan社は、STのテクノロジー・プラットフォームを基盤として、デクスタラス・ロボットハンドの製品ポートフォリオを提供しています。その中には、カスタム・マニピュレータを大規模システムへ組み込むユーザに向けた、導入しやすいソリューションも含まれます。
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STはもはや単なるサプライヤではありません。Ruiyan社内に設置された共同実験室を通じて、ヒューマノイド・ロボット分野のイノベーションを共に推進しています。”
Paul Tian氏, Ruiyan社 最高経営責任者(CEO)