Somfy社のリモコンの成功を支えたチップ
毎日、世界中の何百万人もの人々がSomfy社のスマートホーム・ソリューションを利用しています。住宅や建物の設備開閉の自動制御で知られるSomfy社は、スマートホーム・システムの中心的存在です。同社は、シャッター、ブラインド、カーテン、ゲート、ガレージ自動ドア向けのさまざまな電動ソリューションと制御機器を提供しています。 快適さと使いやすさを追求し、セキュリティとサステナビリティを念頭に置いて開発されたSomfy社のシームレスなコネクテッド・ソリューションは、環境に優しく、人が中心となる生活空間への移行を促進します。
Somfy社は、顧客満足度のさらなる向上を目指して、モータおよびリモコン・アプリケーションの主要チップ・サプライヤとしてSTを選びました。STを選んだ理由は、低消費電力技術をはじめとするイノベーションへの取り組みと、あらゆるレベルでの緊密な協力にあります。2025年、STはSomfy社のリモコンのニーズに対応するため、特別に調整した新しいSoCを提供しました。
課題
- RF機能を備えたオールインワン型チップ・ソリューションによる部品点数の削減
- シャットダウン・モードとウルトラ・ディープ・モードを組み合わせた超低消費電力
- スリープ・モード時でもリモコンの高い信頼性と高速なクリック応答の確保
ソリューション
- スマートホーム・アプリケーション向けに電力効率に優れた幅広いチップを提供する半導体リーダーであるSTと提携
- 超低消費電力リモコン向けに最適化されたSTM32WL3R SoCを採用
効果
- 将来を見据えた統合設計プラットフォームを通じて、製品開発の最適化、サプライチェーンの簡略化、コスト効率の向上により、競争優位性を確保
- 単一プラットフォームでの複数のリモコン構成、低消費電力技術、Somfy社のスマートホーム製品の寿命延長、バッテリ交換頻度の削減
Somfy社の問題解決の鍵:自らの課題に向き合うチップ・メーカー
Somfy社は、市場におけるリーダーシップを生かして、コストを抑えながら高機能化し、リモコンをアップグレードすることを目指していました。スマートホーム機器の管理に不可欠なSomfy社のリモコンは従来、RF(無線)とマイクロコントローラ(マイコン)という2個のデバイスを使用していました。2024年、Somfy社はこの構成を合理化する機会を見いだしました。同社の製品エンジニアは、STに大胆なアイデアを持ちかけました。それは、STのSTM32WL3ワイヤレス・セキュアSoC にRFトランスミッタをシームレスに統合するというものでした。STは、すぐにこの新しいSoCの最初のサンプルをSomfy社に提供しました。
このイノベーションが現在のオープン・マーケット製品* STM32WL3Rで、「R」はリモコンを表しています。
*2026年第1四半期に提供開始
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STは長年、当社の主要なチップ・サプライヤです。彼らは当社のイノベーション・ニーズを理解し、積極的に取り組んでいます。”
Sebastien FONTA氏, Somfy社 研究開発グループ・バイスプレジデント
1つの革新的なチップで複数のビジネスを獲得
ツー・イン・ワンのSTM32WL3Rの採用は、Somfy社にとって製品設計プロセスの変革、開発の合理化、部品数の削減、コスト低減につながることが期待されています。基板の小型化は貴重なスペースを解放し、同社の設計者に柔軟性の向上をもたらしています。しかし、本当のメリットはその汎用性の高いメモリとペリフェラルにあります。これらにより、基本的な2ボタン・リモコンから、ディスプレイ、LED、センサを備えた高度なモデルまで、複数のリモコン構成を1つのプラットフォームに統合できます。この汎用ソリューションは、Somfyグループのソリューションおよびブランド(Somfy、BFT、Simu)で使用されているすべての無線プロトコルをサポートし、同グループの製品構成全体にわたる統合アプローチを実現します。具体的に言うと、Somfy社は単一の統合プラットフォームで多種多様なリモコンを実現できるようになるということです。
この戦略は、設計時間を短縮すると同時に複雑さを削減し、すべての企業が求めている開発の効率化、堅牢な設計、製品開発期間の最適化を実現します。
STはイノベーションに加え、Somfy社の品質保証もサポート
Somfy社の品質への取り組みは60カ国に広がっています。スマートホーム機器とリモート間の信頼性の高いコネクティビティは、顧客満足度の確保に不可欠です。しかし、STがチップ・サプライヤとして選ばれたのは、品質面だけではありません。
半導体業界の昨今の供給状況を考慮し、Somfy社は信頼性の高いサプライチェーンの構築に注力しています。また、同社のモジュール式アプローチにより、あらゆる状況で柔軟で一貫したチップ供給の確保がさらに重要になっています。この取り組みにおいて、STの堅牢かつグローバルな製造ネットワークは重要な役割を果たしました。
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STは、協力的で信頼できるチップ・メーカーであり、当社の成長意欲とサプライチェーンのレジリエンスを支える強力なアセットです。”
Charles-Edouard VASSE氏, Somfy社 グループ最高調達責任者
持続可能なスマートホームは適切なチップ・サプライヤから
STは、2027年までのカーボン・ニュートラル達成**を掲げており、これは、Somfy社のサステナビリティ目標にも近いものです。Somfy社にとって、サプライヤの環境への取り組みは副次的なものではなく、環境に優しい製品と責任ある製造に対する需要の高まりに対応する上で不可欠なものです。STの長年にわたるイノベーションは、Somfy社のサステナビリティ戦略の基礎である大幅な消費電力削減も実現しています。
STM32WL3Rはその好例です。部品数を2個から1個に減らすことで、二酸化炭素排出量を削減するだけでなく、十分な送信電力と最小限の消費電力で世界最高の伝送効率で、最先端のRF性能を実現します。これは、6本のウェイクアップ・ピンによる14nAシャットダウン・モードに加えて、新しいウルトラ・ディープSTOPモードを提供する市場初のチップです。このウルトラ・ディープSTOPモードでは、設定データを保持しながら消費電力を450nAに抑え、消費電力を削減すると同時にウェイクアップ時間を短縮します。実用面では、これらの機能により、Somfy社のリモコンは、瞬時の応答性を維持しながら消費電力を最小限に抑え、バッテリ寿命を延長することができます。
**すべての直接・間接排出量(スコープ1および2)、製品輸送、出張、および通勤からの排出量(スコープ3の焦点)
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STには強力なカーボン・ニュートラル・プログラムがあり、よりエネルギー効率に優れ、環境に優しい製品の構築に貢献し、当グループのカーボン・フットプリントにプラスの影響を与えてくれます。”
Frederic BERNARD氏, Somfy社 グループ商品購買担当ディレクター