毎年フランスでは、風力タービンのブレードへの衝突により、約56,000羽の鳥が死亡しています。これは、深刻な生態学的課題であるだけでなく、事業者も種の保護に関する規制への抵触で、1日あたり最高€3,000の罰金を課される恐れがあります。こうした問題に対処するため、ALTEN社とSchneider Electric社が主導するプロジェクトでは、組み込みのコンピュータ・ビジョンとGreen Edge AIのテクノロジーを活用することで、バード・ストライクのリアルタイムでの検出と防止を実現しました。この取り組みにより、風力発電施設では、効果的な手段を即座に実装し、規制への準拠と運用効率を確保しながら、生物多様性を保護することが可能になります。
アプローチ
dBirdは、スマート・カメラと組み込みAIを活用して風力タービンへのバード・ストライクを防止する、エッジ・コンピューティング・ソリューションです。コンピュータ・ビジョンの使用により、システムが鳥の活動を検出して分類し、風力タービンがリアルタイムに反応することで、動作を調整できるようにします。
主な技術的課題の1つは、リソースが限られたマイクロコントローラで、遠距離かつ高精度の鳥の検出をどのように実現するかです。この課題を克服するために、堅牢かつ高品質のデータセットを使用して高度なAIモデルを微調整し、洗練されたモデル圧縮技術を適用しました。その結果、高い検出性能を提供しながら、低エネルギー消費を維持し、Green AIの方針に完全に沿ったソリューションを提供できるようになりました。また、カスタムの意思決定アルゴリズムを使用して、リアルタイムの環境条件に基づきタービンの反応を最適化することにより、システムのさらなる強化も行えます。
iPC上でマルチセンサをデータ・フロー管理とデータ・フュージョンに統合:
STM32H7での農業活動の検出
Jetson Nanoでの鳥の活動の検出と追跡
新しいSTM32N6への拡張
結果
dBirdプロジェクトでは、保護要件のレベルがそれぞれ異なる各種の鳥類の検出と分類に注力しています。
センサ
RGBイメージ・センサ
執筆:Alten | 最終更新:2025年6月
リソース
STM32Cubeの無料の拡張パッケージX-CUBE-AIを使用すると、ニューラル・ネットワークや機械学習モデルなどの学習済みAIアルゴリズムを、STM32用の最適化されたCコードに自動変換できます。
Arm® Cortex®‑Mプロセッサをベースとする32bit汎用マイクロコントローラのSTM32ファミリは、より柔軟かつ自由なアプリケーション開発を実現します。高性能、リアルタイムの処理能力、デジタル信号処理(DSP)、低消費電力 / 低電圧動作、コネクティビティなどのさまざまな機能を集積した製品により、開発をサポートします。