出荷した荷物の状態が気になったことはありませんか? 衝撃によって荷物の中身が大きく破損したことはありませんか?
センサはこうした状況の監視に役立ちますが、バッテリ寿命を延ばすには消費電力を抑えることが不可欠です。 そこで役立つのが組込みAIです。 センサ・レベルで、荷物の状態を追跡し、起こりうるイベントを検出しながら、消費電力の削減に貢献できます。
このユースケースでは、 ST MEMSセンサを使用してスマート・アセット・トラッキング・ソリューションを実装する方法を紹介します。
アプローチ
ST MEMSセンサに搭載された2つの高度な機能である機械学習コア(MLC)とステート・マシン(FSM)を組み合わせました。
- 異なるクラスを検出するために、MEMS-Studioを使用して3つのノードを持つディシジョン・ツリー・モデルを生成し、設定しました。
- MLCは加速度センサ・データを処理して、荷物の状態(静止状態、移動中、振動状態など)を検出します。
- FSMは、フィルタリング前およびフィルタリングされた加速度センサ・データを処理して、衝撃や落下を検出します。
- この例では、衝撃検出のしきい値を0.5gに設定し、直立角度を26に設定しています。
- センサのINT1/INT2ピンで生成される割込みにより、目的のイベントが検出された場合にのみマイクロコントローラを起動できます。
センサ
データ
センサの向きは、ENU規則に従って(Z軸が上向きに)設定されています。
結果
MLCの出力はMLC1_SRC(34h)レジスタから読み出すことができます。
- 00h = 静止状態 - 直立
- 04h = 静止状態 - 非直立
- 08h = 移動中
- 0Ch = 振動状態
FSMは次の状態を検出します。
- 衝撃(FSM #1によって検出)
- 自由落下(FSM #2によって検出)
この構成では、レジスタMLC1_SRC(34h)が新しい値で更新されるたび(MLCによって検出された状態が変化したとき)に、INT1ピンに割込み(パルス、アクティブハイ)が生成されます。この構成での割込みパルスの持続時間は 40msです。
この構成では、FSMによって自由落下または衝撃イベントが検出されると、INT2ピンに割込み(パルス、アクティブハイ)が生成されます。自由落下割込みは、荷物が空中にある間はアクティブのままです。FSM_STATUS(13h)レジスタにより、どちらのFSMが割込みを生成したかを判断して、衝撃イベントと自由落下イベントを区別できます。
モデル作成ツール MEMS-Studio
スマート・センサでAI機能の活用を可能にするデスクトップ向けソフトウェア・ソリューションです。これにより、ユーザはデータの分析、組込みライブラリの評価、MEMSセンサの全ポートフォリオに対するノーコード・アルゴリズムの設計が可能になります。
対応製品 LIS2DUX12
センサが取得したデータを直接処理し、ホスト・デバイスに有意義な処理済みの有意義な情報も提供できるスマート・センサ。スマート・センサは、データのローカル処理によって生データ送信とクラウド処理を不要とすることで、システム・レベルでの消費電力を削減します。