すぐに使えるAutoDevKitモータ制御ボード

STのモータ制御アプリケーション向け開発ボード・ファミリであるAEK-MOTは、市場動向に対応しています。自動車のモータ制御は劇的な変化を遂げつつあります。10年前は1台の車に10個程度しかなかったのが、今では50個近くに増加しており、現在も増え続けています。モータ制御アプリケーションも多様化しています。パワー・ウィンドウやドアからトランク、電動ブレーキ、EV駆動システム、新しいアクチュエータに至るまで、エンジニアは非常に幅広いシステムに対処しなければなりません。簡単に言えば、ロードマップは非常に複雑になり、チームにはイノベーションのペースについていくためのソリューションが必要です。AEK-MOTが12ヵ月のロードマップにおける秘密兵器となりうる3つの理由がここにあります。

理由1:独自の多様なポートフォリオ

4枚のボード

自動車のアプリケーション数の増加に取り組む最適な方法は、それらに対応できる多様なポートフォリオを活用することです。つまり、STが既に開発済みのものを、なぜゼロから開発するのでしょうか?

 

AEK-MOT-2DC40Y1

AEK-MOT-3P99081

AEK-MOT-TK200G1

AEK-MOT-WINH92

モータ・タイプ

デュアルDC(各最大35A)

CANブラシレス・モータ(12V、24V、48V)

最大3台のDCモータ用ゾーン・コントローラ

1台の50A DCモータ

アプリケーション

単方向DCモータ、LED、ポンプ

冷却ファン、オイル・ポンプ、スマート・ステアリング

パワー・リフトゲート

パワー・ウィンドウ

戦略的優位性

実装面積が小さく、最大3台のDCモータを駆動可能

SPC560P車載用マイコンとL9908ゲート・ドライバ・ユニットの統合ソリューション

SPC58車載用マイコンとLINおよびHS-CANをサポートするL99DZ200Gドア・ゾーンICとの統合ソリューション

L99H92 Hブリッジ・ゲート・ドライバを内蔵

設計ツール

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広範な開発エコシステム

AutoDevKitボードは、コンセプト検証の迅速な開発と実行を可能にするソフトウェア・ソリューションを提供します。たとえば、AEK-MOT-WINH92には、フルブリッジおよびハーフブリッジ構成用のテスト・アプリケーションと、SPC58EC上で動作するパワー・ウィンドウ・デモが付属しています。同様に、AEK-MOT-TK200G1用のCANバス駆動例を含むソフトウェア・ライブラリも用意されており、開発者はコードを学び、それを再現することで習得することができます。
あるいは、ドキュメントがなくなるとは言い切れませんが、エンジニアがより直感的に操作できるツールを手に入れ、より迅速かつ効率的に専門知識を習得できるようになるということです。

理由2:OEMとインテグレータにとっての新戦略の始まり

ゾーン型アーキテクチャへの移行は現実的

前述したように、市場がより幅広いモータ制御ソリューションを使用するようになるだけでなく、自動車が新しいアーキテクチャを採用するようになるため、包括的な開発エコシステムから恩恵を受けることが重要な鍵となります。たとえば、ますます多くの自動車がゾーン型プラットフォームに以降しつつあります。STでは、これを「隠れた革命」と呼んでいます。この移行の背後にある理由は簡単で、AI用の高性能コンピューティング・ユニット(HPCU)と、Ethernetのようなより高速な通信プロトコルの使用が可能になったからです。ケーブルの長さや太さを削減しながら、多数のセンサを管理するのに役立ちます。S&P Global Mobilityによると、2034年に製造される新車の40%近くがゾーン型アーキテクチャを採用します。

既存のAEK-MOTソリューションは、これらのすべての要件に対応しています。たとえば、AEK-MOT-TK200G1はすでにゾーン型アーキテクチャに対応しているため、OEMや自動車メーカーは新しいプラットフォームをより迅速に採用することができます。そのため、STは統合型と非統合型のモータ制御ソリューションも提供しており、より高度な統合を必要とするゾーン型システムへの移行を支援する一方で、特定の部品番号だけが必要で非統合型のモータ制御ボードを好む人々のニーズにも対応しています。

同様に、STはAEK-COM-10BASETも開発しました。これは、ほとんどのモータ・ドライバICで使用されているレガシー・プロトコルと、新しい10BASE-T1Sとの間のゲートウェイです。リモート制御プロトコル(RCP)([Open Alliance - TC18リモート制御プロトコル]を参照)のおかげで、これはさらに普及すると期待できます。RCPは、マイコンと通信するためにEthernet物理層とSPIまたはI2Cの間に配置されるため、10BASE-T1Sを利用して確定的な性能を実現します。

より多くのソフトウェア機能へのニーズが高まっている

AEK-MOTボードがAutoDevKit開発エコシステムに属しているということは、エンジニアがゼロからコードを記述しなければならない場合よりも、はるかに簡単に展開できる重要な機能を利用できることを意味します。最もよく知られている例は、Over-the-Air(OTA)更新メカニズムです。これは、ますます必須となっていますが、作成するのが複雑な場合があります。同様に、AutoDevKitは、ドライブ・モード用AIの実装における最初のステップとして最適であり、エンジニアがモータ制御ソリューションで実現できることや、消費者がその創意工夫からどのような恩恵を受けるかに直接影響します。簡単に言えば、自動車メーカーがそのアーキテクチャを全体として捉えるとき、OEMは包括的なアプローチを採用する必要があります。したがって、このような包括的は戦略を可能にする総合的なソリューションを活用することが不可欠となります。

理由3:多くの不確実性への終止符

ソフトウェア定義型自動車に固有の課題

自動車メーカーが採用しつつある新戦略は、ゾーン型アーキテクチャへの移行ですでに見たように、自動車が独自の方法で進化していることに起因しています。OEMが対処しなければならないもう一つの変革的な現象は、「ソフトウェアが自動車を飲み込みつつある」という事実です。これは、Robert Charette氏が2021年のIEEE Spectrumの記事で述べたように、一般的にソフトウェア定義型自動車(SDV)と呼ばれています。問題は、未来の自動車をプログラムするプログラマを雇うには、ハードウェアの専門知識が不足する傾向にあることです。モータ制御システム、フィールド指向制御アルゴリズム、またはモータ・エンコーダなしの挟込み防止機構のような重要な機能の設計のエキスパートであるソフトウェア・エンジニアはほとんどいません。

ランダム性を取り除く方法

その結果、SDVの流行に乗るということは、チームが最新かつ効率的なソリューションを作成するために必要なハードウェアの専門知識を備えたエキスパートを雇用する必要があることを意味します。1つの方法は人材を探すことですが、これは困難なプロセスとなる場合があります。もう1つの選択肢は、モータ制御、マイコン、パワー・デバイス、およびその他の関連テクノロジーにおけるSTのリーダーシップから進化したAutoDevKitプラットフォームを採用することです。さらに、最近の市場や世界的な動向はサプライ・チェーンを混乱させることがあるため、STのグローバルな製造工場ファミリに依存することで、組立ラインや流通網の堅牢性に欠ける企業に影響を及ぼす可能性のある地域の衝撃的な事象やその他のランダムなイベントのリスクを軽減することができます。さらに、STのデバイスのほとんどは10年間の長期製品供給保証が付いています。

開発に向けて

着手する最適な方法は、AEK-MOT-2DC40Y1AEK-MOT-3P99081AEK-MOT-TK200G1、またはAEK-MOT-WINH92を入手し、AutoDevKit Studioをダウンロードして、多数のデモ・アプリケーションのいずれかから始めることです。ほとんどの場合、それが実現可能性を検討するための最適なやり方であり、機能や製品を市場に投入するために何が必要かを経営陣に示すための最短ルートです。STはまた、技術ワークショップを開催し、フィールド・アプリケーション・エンジニアによるサポートを提供しています。したがって、多くの場合、現地の担当者に問い合わせることが、回答やアドバイスを得るための最短の方法です。また、STパートナー・プログラムという広範なネットワークがあり、プロジェクトを迅速に進めることができます。

ブログ記事

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