エッジ・コンピューティング
スマート・センサ・ノード
状態モニタリングと予知保全
状態モニタリングは、調整不良や軸受け破損といった潜在的な障害を見つけるために、振動や温度といったさまざまなパラメータをモニタリングする機能です。例えば、回転する機械の振動を振動計とマイクロホンのデータに基づいて周波数解析することで、その劣化を予測モデルに対してマッピングすることができます。コンプレッサやポンプ、軸、モータといった設備では、継続的な状態モニタリングが行われます。
また、機械の部分放電や真空漏れを検知する上でも継続的なモニタリングが行われます。
予知保全は、ベースとなる状態モニタリング、異常検出、および分類アルゴリズムに、検出された異常に基づいて機械の残存寿命を推定する予知モデルを統合することで実現します。統計分析や機械学習など、さまざまなツールを利用して設備の状態を予測可能です。
エッジ・コンピューティングの重要性
予知保全では、スマート・センサ・ノードの設計、センサ・ノードやゲートウェイ内で動作する組込みソフトウェアの設定、さらにはクラウドまたは企業のERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)システムに統合するためのソフトウェアの開発など、さまざまなスキルや能力が求められます。また、異常の早期発見や稼働時間の最大化のために、機械学習アルゴリズムやAIアルゴリズムを実装することもできます。
予知保全において重要な要素であるスマート・センサ・ノードは、可視化ツールやその他の処理アルゴリズムで使用するセキュアなデータの収集、記録、および前処理を行います。演算処理の遅延を減らすことにより、データの処理や将来の信頼性にかかわる重要な指標である温度のわずかな上昇や急上昇といった異常を検出することも可能です。
ゲートウェイは、複数のスマート・センサ・ノードからデータを収集して処理したり、イーサネットやWi-Fi、セルラー通信、LPWANなどを介してクラウドとのセキュアな接続を実現する接続ブリッジとして機能します。
エッジ処理では、複数のスマート・センサ・ノードおよびゲートウェイにデータの処理を分散させ、より高度な解析を行うことができるシステムに対して適切なデータを適切なタイミングで送信します。また、機械学習アルゴリズムやAIアルゴリズムにより、スマート・センサ・ノードやゲートウェイのミッション・プロファイルを強化して異常検出や分類の範囲を広げることも可能です。
STの状態モニタおよび予知保全向け製品ポートフォリオ
状態モニタリングと予知保全は、高度な付加価値を提供するIndustry 4.0アプリケーションです。そのため、STは先進的なICに加え、評価ツール、ソフトウェア、ドキュメント、および遠隔モニタ用オンライン・ダッシュボードなどを含む開発エコシステムを提供し、産業分野のニーズに応じて継続的にアップデートしています。
マイクロコントローラ & マイクロプロセッサ
STM32ファミリの Arm® Cortex®-M4 / M33 / M7搭載マイクロコントローラ、および浮動小数点ユニットを搭載したArm® Cortex®-A7搭載マイクロプロセッサ(MPU)・シリーズは、センサ・データのエッジ処理に対応します。また、STM32ファミリのマイコンおよびMPUを使ったAI開発をサポートするツール・セットであるSTM32Cube.AIにより、ニューラル・ネットワークや機械学習機能を実装してディープラーニング機能を実現することも可能です。
センサ & 慣性測定ユニット(IMU)
STは、単純なパス / フェイル・モニタから周波数に基づく高精度のデータ分析まで、幅広い振動解析を実現する加速度センサや超音波アナログ・マイクなど、高性能かつコスト競争力のあるセンサおよび慣性測定ユニット(IMU)を提供しています。いずれも10年間の長期製造保証プログラムの対象製品です。また、温湿度センサや大気圧センサを含むさまざまな環境センサや、機械学習アルゴリズムの実行に向けて最適化され、IMUとホスト・プロセッサ間のデータ処理の共有を可能にするデジタル機能を搭載した先進的なMEMSセンサも提供しています。
有線 / 無線通信ソリューション
STは、産業向け有線通信用IO-Link対応デバイスなどの有線ソリューションのほか、Bluetooth® Low Energyシステム・オン・チップ(SoC) / ネットワーク・プロセッサ、LoRa®やSigfox、および免許不要のISM / SRDバンドに対応したLPWAN SoC / トランシーバなど、幅広い有線 / 無線通信ソリューションを提供しています。
異常検出 & AI:STインテリジェント・センサの実現に向けて一歩前進
センサのデータに基づく状態ベースのモニタリングからセンサ内部で計算される異常検出への移行は、産業用アプリケーションの予知保全における重要なイノベーションです。これによりシステムレベルの電力効率、ダウンタイムの短縮、および保守コストに関して大きなメリットを実現することができます。
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