住宅の省電力化

プログラム可能なサーモスタットを一般的な家庭に導入することで、15%*の電力とコストを削減することができます。しかし、2018年の報告によると、電気ヒータのプログラム機能を活用しているユーザはわずか20%程度でした。この状況を変えようと立ち上がったのが、無線モジュール・メーカーで、STの認定パートナーでもあるIoTize社と、冷暖房空調設備の業界をリードするCotherm社です。冷暖房機器の面倒な操作を革新し、高速で直感的なユーザ体験を実現しました。

* Energy efficiency and the misuse of programmable thermostats: The effectiveness of crowdsourcing for understanding household behavior (escholarship.org)

3社の連携により、住宅の省電力化に大きく貢献する革新的な製品を 生み出すことができました。

Thierry Camillieri氏, Cotherm社 最高経営責任者(CEO)

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課題

  • すべてのユーザによる省電力機能の活用
  • 価格感応度:新機能による価格上昇
  • 季節による市場変動:冬の到来前の市場投入が必要
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ソリューション

  • モバイル機器で普及している無線接続機能「NFC タグ」のユニットへの統合
  • STM32G0 マイコンを活用し、部品コストを最小化 / アップグレードの柔軟性を最大化
  • サーモスタットのモバイル・アプリを開発
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効果

  • 高速で直感的なユーザ体験:スマートフォンから温度や省電力機能の設定が可能
  • 簡単に省電力化:快適さを維持しつつ住宅の冷暖房費を15%節約可能
  • インストール / ペアリング不要:あらゆるユーザが簡単に安心して使用可能

省電力機能をもっと使いやすく

NFCは、便利で常時利用できる無線接続機能として、あらゆるスマートフォンに搭載されています。サーモスタットのプログラムなど、複雑な作業を簡単に実行できるように設計されています。市販されているNFC対応のヒータは、多くの場合NFCモジュールを構築したのがIoTize社、それを温度コントローラに組み込んだのがCotherm社である可能性が高いでしょう。2020年、Cotherm社の顧客であるUniv'R Chauffage社は、業界で初めてNFC対応の電気ヒータを市場に投入しました。複雑で扱いにくいLCDディスプレイをNFCに置き換えた商品です。同年10月には、フランスの主要販売店にその商品が並びました。

 

私たちは、季節に応じて変動する市場を対象にしているため、迅速に対応する必要がありました。STの包括的なハードウェアおよびソフトウェア開発エコシステムを活用し、IoTize社の研究開発チームと協力することで、信頼性が高くコスト効率に優れたNFCコントローラを6ヵ月足らずで開発できました。

Thierry Camillieri氏, Cotherm 社 最高経営責任者(CEO)

NFCダイナミック・タグICの役割

IoTize社のTapNLink NFCモジュールには、最大64KbitのEEPROMを搭載するST25 NFCダイナミック・タグICが組み込まれており、暖房機器とスマートフォン間でデータを安全に転送します。IoTize社は、ハードウェアだけでなく、暖房機器の季節的なスケジュールを便利に設定できる直感的なアプリも開発しました。暖房機器に向けてスマートフォンをタップするだけで、設定や設定内容の転送が可能です。

 

NFCモジュールは動作距離が短く、プライバシー保護にも貢献します。ユーザの機密データをクラウド・サーバで処理・保存することがないため、シンプルかつ低消費電力な機器が実現可能です。データは、STM32G0マイコンによってヒータ・ユニット上で直接処理されます。STM32G0マイコンは、きわめて低コストでありながら魅力的なオプションが提供されており、高い信頼性を備えたエントリレベル・マイコンの 1 つです。

 

STのダイナミックNFCタグを採用したTapNLinkによって、マスマーケット向け生活家電に不可欠な高速応答、低消費電力、低コストを実現できます。

Francis Lamotte氏, IoTize社 社長

複雑な開発課題をシンプルに解決するNFC技術

スマート・ホーム機器のコネクティビティにはさまざまな技術が関係するため、開発者にとって課題となる場合もあります。このような複雑な開発課題に対し、シンプルな解決策を提供するのがNFC技術です。NFCには、ユーザ体験の向上以外にもさまざまなメリットがあります。NFCはエナジー・ハーベスティング(スマートフォンなどNFCリーダの電磁場から電力 を取得)で動作するため、メーカーは、最終製品の出力設定を製造プロセスの最終段階で簡単に調節できます。出荷直前の梱包された製品にスマートフォンから設定を行います。この優れた柔軟性により、IoTize社のモジュールはスマート・ヒート・ポンプ、給湯器など、冷暖房空調設備製品のほとんどに使用可能です。

 

NFCは、出荷から廃棄に至る製品の追跡や、複数のサプライヤとユーザをつなぐ目的でも活用できます。製品のバリュー・チェーンに関わるあらゆる組織間で、きわめて簡単にデータを共有することができます。こうしたコミュニケーションの強化が最終的には、販売後の迅速かつカスタマイズされたサポートを可能にし、メーカー、小売業者、エンド・ユーザ間の良好な関係を実現します。さらに、小売業界におけるメガトレンドである、返品・修理・リサイクルのためのリバース・ロジスティクスの促進にも貢献します。

IoTize社について

IoTize社は、フランスに拠点を置くSTの認定パートナー企業です。さまざまな分野から集まったチームが、プラグ・アンド・プレイ型かつセキュリティの確保された、高効率のワイヤレス・デバイスを設計・製造しています。IoTize社の組込みソフトウェアおよびツールは、無線製品の開発や、IoTの導入に向けた産業用システムの改修に伴うリスク/コストを大幅に削減します。

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Cotherm社について

ヴィネ(フランス)に拠点を置き、75年以上の経験を持つCothermグループは、革新的な熱制御ソリューションを設計・生産し、60ヵ国以上の水や空気を加熱する装置メーカーに販売しています。主に、冷暖房空調設備、飲食物提供サービス、再生可能エネルギー機器の市場を対象に事業を展開しています。

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