セルラー通信やWi-Fiシステムにおいて、無線周波数(RF)フロントエンド・モジュールは非常に重要です。アンテナとRFトランシーバとのインタフェースとして機能するRFフロントエンド・モジュールには、アンテナ用低ノイズ・アンプ(LNA)、パワー・アンプ(PA)、アンテナ・チューニング・スイッチ、パワー・マネージメント・ユニットなど、高感度なコンポーネントが含まれています。

 

Radio Frequency (RF) Front-End Module

ますます進む複雑さ

リニア・スイッチの絶縁やパワー・アンプの効率最大化といった設計上の課題に応えるため、業界では、RFフロントエンド・モジュールの各要素に特化したプロセスが開発されてきました。その結果、数多くのディスクリート部品やICが開発されました。

4GスマートフォンやWi-Fi(IEEE 802.11ac)などの高速通信の新しい規格では、データ・スループットを増やす目的で40もの異なる周波数帯域を使用します。そのため、最新の通信機器はRFフロントエンド回路の増強が必要で、従来のディスクリート部品を使用したアプローチでは全体のサイズが非常に大きくなります。

このような複雑化に伴い、性能に妥協することなく優れた柔軟性と高度な集積化を実現できるシリコン・ベースの新しいプロセスが求められています。

さらなる集積化に向けて

STは、10年以上にわたる開発で培ったシリコン・オン・インシュレータ(SOI)のノウハウを活用し、RFで求められる条件を満たしつつ高度な集積化を実現した、革新的なRF-SOI技術であるH9SOIを2008年に導入しました。

小型・高集積のRFフロントエンド・モジュールを開発する顧客向けに用意されたSTのH9SOIプロセスは、ディスクリート部品を使用した従来の高価なアプローチを代替する競争力の高いソリューションを実現しました。

H9SOI FEM : STのRFフロントエンド・モジュール向けRF-SOIソリューション

2012年、STは、これらの経験を基にH9SOIプロセスをさらに最適化し、最先端の完全統合されたRFフロントエンド・モジュールの開発を可能にする、専用のH9SOI FEMプロセスを開発しました。

競争力に優れたH9SOI FEMプロセスは、従来の技術よりも小型かつ高性能のRFフロントエンド・ソリューションを実現します。この新しいプロセスは、0.13µmと0.25µmのデュアルゲートMOSFETをベースにしており、1.2V MOS、2.5V MOS、および最適化されたNLDMOS(1) などの多数のデバイスをサポートし、RFフロントエンド・モジュールのあらゆるアプリケーション(スイッチ、アンテナ・チューニング、パワー・アンプ、低ノイズアンプなど)に対応します。

H9SOI FEMの性能上のメリット

STのRF-SOIは、アンテナ・スイッチおよびアンテナ・チューニング製品向けに優れたRon-Coff性能指数を提供し、堅牢な絶縁性と高いMOSブレークダウン電圧を維持しつつ、非常に高い性能を実現します。   Ron-Coff性能指数
特に-95dBmの高調波の実現と、4G/4.5Gのキャリア・アグリゲーションに必要な主要パラメータである線形性の向上に重点が置かれています。  

Ron:オン抵抗。
低Ronは挿入損失(インサーション・ロス)が低い

Coff:オフ容量。
低Coffは絶縁性能が高い


最適化されたNLDMOSに厚膜銅配線層(Thick Copper Layer)を組み合わせることで、電力付加効率(PAE)とゲインが従来製品と比較して10%も改善された高効率パワー・アンプを実現できます。

NLDMOS

さらに、H9SOI FEMプロセスは、安全マージンを持って5GHzの設計が可能なしきい値周波数で超低ノイズ指数(GO1 NMOSで0.2 dB)を維持できるため、非常に高性能なLNAを実現できます。

H9SOI FEMの製造上のメリット

STは、H9SOI FEMプロセスにおいてマスク数を削減し、プロセス・フローを簡略化しました。マスク数とプロセス・ステップ数を減らすことで、従来技術よりもリード・タイムを全体で25%削減しています。この新しいRF-SOIプロセスにSTの製造能力を組み合わせることで、顧客の非常に厳しい要求にも最短の開発期間でサポートします。

(1)NLDMOS : N type Lateral Drain Extended MOS(N型横方向拡散MOS)

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