組み込みAIの現状:
今後の動向の理解
AIの未来は分散型
組み込みAIは、あらゆる場所のほぼすべてのデバイスにインテリジェンスを組み込む道を開いています。
テクノロジー分野では、システムのあらゆるレイヤで常に電力と性能のバランスが保たれています。
- 上位に位置するクラウド・インフラは、大規模AIモデルやデータ処理のために数千kWの演算能力を提供します。
- エッジに近い部分では、ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)などの専用ハードウェアが、中規模のワークロードを効率的に処理します。
- デバイス・レベルでは、何十億台ものマイクロコントローラとセンサが、1wからmW単位の超低消費電力で動作しながら、データが生成される場所でAI推論を実行し、ネットワークのエッジでリアルタイムの洞察と応答を実現します。
このアプローチは、AIワークロードをクラウド、エッジ、小型エッジ・デバイスに分散させることで、性能と効率の両方を最大化します。これにより、大規模なデータ・センターから最小規模のスマート・センサまで、AIのシームレスなスケーリングが可能になり、AIを活用したソリューションにおけるイノベーション、俊敏性、持続可能性の新たな機会を切り開くことができます。
STは小型組み込みAIの導入をリード
マイクロコントローラとスマート・センサは、データをネットワークのエッジで直接処理することで、AI導入の最前線となります。
物理世界とインテリジェント・システム間の重要なインタフェースとして、現実世界のデータをキャプチャし、組み込みAIアルゴリズムを使用して分析し、即座にアクションや意思決定を開始します。
STM32N6マイクロコントローラは、ST Neural-ARTアクセラレータの形で組み込みAIアクセラレーションを搭載し、最大600GOPSもの優れた性能を発揮します。AIアクセラレーテッド・マイクロコントローラにより、組み込みデバイスによるコンピュータ・ビジョンやリアルタイム・マルチモーダル処理が実現します。
STの汎用および車載用マイクロコントローラは、低消費電力でAIを実行できるため、低消費電力が要求される環境に最適です。これらのソリューションは、高性能STM32シリーズから超低消費電力マイクロコントローラ、SPC5 / Stellar車載用マイクロコントローラまで、幅広い製品をカバーしています。
STはまた、消費電力が1mW未満のインテリジェント・センサによって限界を押し広げ、常時動作のイベント検出や時系列データのリアルタイム組み込みAI処理を実現しています。つまり、機械学習コア(MLC)やインテリジェント・センサ処理ユニット(ISPU)などのセンサ内処理技術により、デバイスはバッテリ寿命を維持しながらイベントを継続的に監視し、対応できるということです。
組み込みAIによるアプリケーションの変革:3つの使用用途
小型組み込みAIは幅広い組み込みアプリケーションを実現し、さまざまな業界でイノベーションを促進しています。その影響は、すでに実現可能なものから将来可能になるものまで、3つの基本的な使用用途を見れば理解できます。
1.既存アプリケーションの改善
既存のハードウェアとソフトウェアを使用して、既存の製品やアプリケーションを単純に改善します。マイクロコントローラは、現在の動作に加えて、異常検出やセンサ・データによる補間といったアプリケーションを実行できます。
これはソフトウェアによって実現でき、マイクロコントローラによるAIハードウェア・アクセラレーションは不要です。開発者は、複数のセンサをより高度なデータ処理ユニットに置き換えることで、ハードウェア設計を変更せずに製品のアップグレードやコスト削減を図ることができます。
2.コストの削減
マイクロプロセッサまたはアプリケーション・プロセッサを使用して、現在技術的に実現可能な製品またはアプリケーションを実現しながら、マイクロコントローラに典型的なコストと電力バジェットの範囲内で提供します。
例えば、人検出、音声分析、音声認識は、既存のアプリケーションに組み込むことができますが、ハードウェア・アクセラレーション搭載マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサのおかげで、コストやエネルギー使用量が削減され、さらに普及が拡大します。
3.未知の探求
これまで考えられなかったまったく新しいアプリケーションを開発するだけでなく、現在クラウド上で実行されているアプリケーションを革新してエッジに移行します。
このアプローチは、ポーズ / ジェスチャ推定、生体認証、物体分割などの新たな機能をエッジにもたらし、デバイスが人間の動きを理解して応答できるようにすることで、ユーザ・インタラクションを強化できます。