MEMS Sensors Ecosystem for Machine Learning
STのMEMS & センサによる機械学習システム用開発エコシステムは、複数のハードウェア / ソフトウェア・ツールを組み合わせることで、ディシジョン・ツリーに基づく機械学習アルゴリズムを活用した、エッジAIによるジェスチャ / アクティビティ認識機能などの開発をサポートします。
これにより、機械学習コア(MLC)を内蔵したSTのMEMSセンサを初期の試作段階から導入することができ、超低消費電力のIoTアプリケーションを迅速に開発することができます。ST独自の低消費電力MEMSセンサ設計、高度なAIイベント検出、ウェイクアップ検出、リアルタイムのエッジ・コンピューティング機能により、センサに内蔵されたMLCのシステム・データ転送量を減らし、ネットワーク処理の負荷を軽減することが可能です。
メリット:
- 消費電力の低減
- 検出精度の向上(コンテキスト検出機能)
- エッジAIの実現

機械学習コア内蔵MEMSセンサ

STの機械学習コア内蔵MEMSセンサには、製品型番の末尾に「X」が付いています。開発エコシステム内のMEMSセンサはそれぞれ異なる機械学習機能を提供しているため、きわめて柔軟にエッジAIコンピューティング設計を行うことができます。
STのMEMSセンサに搭載された機械学習コア
STの最新世代の機械学習コア内蔵MEMSセンサは、3つのブロックで構成されています。

内蔵センサ(加速度センサとジャイロ・センサ)は、リアルタイムのモーション・データをフィルタした後、演算ブロックに送信します。演算ブロックでは、「特徴量」として定義された統計パラメータが、キャプチャされたモーション・データに適用されます。演算ブロックで得られた特徴量は、3番目のブロックへの入力として使用されます。その後、ディシジョン・ツリーが統計パラメータを評価し、任意の閾値と比較して状況を識別し、マイクロコントローラ(マイコン)に送信するための分類結果を生成します。
教師あり機械学習によるディシジョン・ツリー構築
STの機械学習コア内蔵MEMSセンサは、設計者が独自に機械学習アルゴリズムを作成し、アプリケーションに応じて最適なディシジョン・ツリーを構築することができます。そのため、幅広いアプリケーションへの対応が可能です。
STのツールを使用して5つのステップでディシジョン・ツリーを構築
データ収集
機械学習による分類における最初のステップは、対象アプリケーションの代表的なモーション・データ・セットを収集することです。センサ・データは、選択したセンサに応じて、ProfiMEMSボード(STEVAL-MKI109V3)、SensorTile.Box、STM32 Nucleoボード、STWINをはじめとするさまざまなハードウェア・デバイス、およびUnico-GUIやST BLE Sensorアプリ、あるいはAlgoBuilderSuiteなどのさまざまなアプリケーションを使用して収集 / ラベリングすることができます。
収集するセンサ・データには、加速度 / 温度 / 音声 / 大気圧 / 地磁気などがあり、アプリケーションによって異なります。
データのラベル付けとフィルタ、特徴量の演算
データの収集後、識別するべき結果に関連付けられたセンサ・データのパターンごとに、ラベルを割り当てます(「ジョギング」や「故障モード」など)。次に、演算ブロック(フィルタと特徴量)を構成します。特徴量とは、特定のアプリケーションに合わせてユーザが設定可能な時間枠内で、入力データ(またはフィルタされたデータ)から計算される統計パラメータです。
ディシジョン・ツリーの構築
データ・マイニング・タスク用の機械学習ツール(UNICO-GUI / WekaRapidminer / Matlab / Pythonなど)を使用し、データ・セット内の特徴を機械学習することで、モーション・データから検出したい状態を認識するためのディシジョン・ツリーを構築します。
MLC内蔵MEMSセンサへのディシジョン・ツリー読み込み
UNICO-GUI、やWekaのようなツールにより、センサに書き込む設定ファイルが生成され、動作確認の準備が整います。
学習済みのディシジョン・ツリーを使用して新しいデータを処理
最終的に、デバイスに設定を書き込むことで、アプリケーション用に定義された学習済みのディシジョン・ツリーを使用して機械学習コアの分類結果を確認することができます。
ディシジョン・ツリー生成に関する詳細資料を以下のボタンからダウンロードいただけます

評価
STのMEMS センサ評価キットには、以下3つの主要コンポーネントが含まれています。
- 高性能32bitマイコンをベースとしたプロフェッショナル・マザーボード
- STのあらゆるMEMSセンサを評価可能なアダプタ・ボード
- センサの設定レジスタにリアルタイムでアクセスし、センサ・データの分析を行うための、直感的なGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)ソフトウェア・パッケージ

STEVAL-MKI109V3

Typical MEMS sensor’s adapter
プロフェッショナル・マザーボード
製品評価用アダプタ・ボード
ソフトウェア

開発
STM32 NucleoボードおよびX-Nucleo機能拡張ボードは、さまざまなアプリケーション開発に最適な包括的かつスケーラブルな開発ボードです。
機械学習システムの開発とセンサ・データの分析を実施するために必要なすべての機能を揃えたGUIソフトウェアも提供されています。
さらに、ローレベルのドライバ、ミドルウェア・ライブラリ、およびサンプル・アプリケーションを含むソフトウェア・パッケージが提供されているため、迅速な開発スタートや、あらかじめ用意されたサンプル・アプリケーションの実装が可能です。

STM 32 Nucleo Expansion Board
STM32 X-Nucleo機能拡張ボード
ソフトウェア
ソフトウェア・パッケージ

試作
STの小型フォーム・ファクタ・ボードは、迅速な試作開発に貢献します。すぐに利用することができ、わずかなコーディング、あるいはコーディング無しで高度なアプリケーションを簡単に試作できる開発ボードです。
センサ・データ分析用のGUIもサポートしており、スマートフォン・アプリと連携されています。また、あらかじめ用意されたサンプル・アプリケーションを含むソフトウェア・パッケージと組み合わせることで、カスタム・アプリケーションを簡単に構築できます。
フォーム・ファクタ・ボード

SensorTile.box

The latest STWIN
ソフトウェア
ソフトウェア・パッケージ
リソース
機械学習コアに関する技術文書を以下のリストからご利用頂けます。
機械学習リソース
機械学習に関するSTのMEMSセンサ開発エコシステムは継続的に拡張されています。ST Githubリポジトリにはさまざまなサンプルが公開されています。
GitHub MLCプロジェクト
ST MLC GitHubリポジトリでは、リファレンスの設定例とともに、ディシジョン・ツリーの包括的な構築プロセスについての詳細を紹介しています。また、人の活動認識、運動認識、頭部ジェスチャ、予知保全システム用の振動モニタリングなどさまざまなサンプル・アプリケーションも提供しており、すぐに評価や開発を開始できるようにREADMEファイルに詳細情報が記載されています。
ビデオ
- 機械学習コア搭載MEMSセンサによるエッジAIの電力効率向上
- チュートリアル(1): イントロダクション
- チュートリアル(2): データ収集
- チュートリアル(3): データのラベル付けとフィルタ、特徴量の演算
- チュートリアル(4): ディシジョン・ツリーの構築
- チュートリアル(5): MLC内蔵MEMSセンサへのディシジョン・ツリー読み込み
- 機械学習コア搭載MEMSセンサの概要と特徴
- 15分で作成可能! 電子ペンのモーション検出
ウェビナー
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MLC内蔵MEMSセンサにおけるディシジョン・ツリー構築 | オンデマンド・ウェビナー |
AIをIoTエッジへ! 機械学習コア内蔵 MEMSモーション・センサ使い方入門 | オンデマンド・ウェビナー |
最新情報

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