近年の高速通信インタフェースでは、データ伝送の高速化に差動モードが使用されています。
信号振幅が小さくなればなるほどシングルエンド伝送のノイズ感度が大きくなるため、信号振幅を下げるだけでは不十分です。STでは、これに対処するため、2つのラインに沿って逆相(D+、D-)で同じ振幅の信号を伝送し、レシーバでその差動を取得しています。
差動伝送モードは、ノイズや接地による効果への感度が低いため、高速データ伝送により適しています。本モードでは、2本のラインの周辺にある磁界がキャンセルされるため、不要輻射も低減されます。
コモン・モード・フィルタ向けアプリケーション:
MIPI DSIやCSI、HDMI、TMDSライン、またはUSB SuperSpeed信号などの高速データ・ラインに最適です。
- ノートブックPC
- ノートPC
- ストリーミング・ボックス
- HDMIスティック
- ゲーム・コンソール
- セット・トップ・ボックス(STB)
- ドッキング・ステーション
- タブレット
- デバイス
高速データ・ライン向けコモン・モード・フィルタ
STは、MIPI DSIやCSI、HDMI、TMDSライン、またはUSB SuperSpeed信号などの高速データ・ライン用に広範なコモン・モード・フィルタを開発しています。本フィルタは、700MHz LTE、2.4GHz Bluetooth®、および2.4GHzや5GHz Wi-Fiといった広範囲な周波数帯を高い減衰レベルで除去するよう設計されたESDプロテクションを組み込んでいます。
コモン・モード・フィルタは、高速差動リンクにより、アプリケーションでRFアンテナの周波数に輻射ノイズが生成されても、RFアンテナの感度の劣化を防ぎます。STのコモン・モード・フィルタは、RFレシーバが高速差動データ・ラインの近くで動作しているアプリケーションで特に便利です。
コモン・モード・ノイズにさらされると、高速差動ラインで、不要な輻射ノイズが発生します。コモン・モード・フィルタは、近隣の他のRF信号からの輻射ノイズや干渉から、差動ラインを守ります。
ECMFタイプの製品
STのECMFは、WLCSPパッケージおよびDFNパッケージで提供され、産業用および車載用組立て要件に対応します。2ラインまたは4ラインで提供される本製品は、最適なフロースルー・フットプリント設計で、不要な周波数のコモン・モード減衰に優れています。
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保護機能を内蔵したコモン・モード・フィルタのメリット:
- 高速ESDプロテクションおよび耐性
- デュアル・クランピング構造(ESDダイオードとインダクタンスの直列抵抗)によりESDクランプ機能が向上
- 有用なアンテナ帯域幅におけるコモン・モード・ノイズを除去することでレシーバの感度を向上
- ESD保護ダイオードとコモン・モード・フィルタを集積することでスペースとBOMを削減
- アイ・ダイアグラムの歪みを低減する低シリアル抵抗
- 集積により寄生エレメントを大幅に低減
- プラスチック・パッケージにより産業最適化
コモン・モード・フィルタを使用した差動伝送のメリット
無料ウェビナー 新しいUSB4およびHDMI 2.1規格に対応した10.7GHzバンド幅のコモンモード・フィルタ
この1時間のウェビナーでは、産業アプリケーションおよびパーソナル電子機器のEMC規格に準拠しながら、ノイズの多い環境でアンテナのRF感度を最適化する方法について解説します。本ウェビナーは、アンテナの感度劣化やEMC規格への準拠に関連する業務に携わるハードウェア・エンジニアや、ハイスピードUSBおよびHDMIコネクタを小型化する方法を模索している組込みシステム・エンジニアに役立ちます。Wi-Fiおよび10Gbpsデータ・トランスミッションに関するさまざまなRSSI、スペクトル分析、トランスミッション速度のテスト結果に基づく専用のセッションもご用意しています。
スケジュール:
- ECMFが必要な理由:
- ノイズ抑制およびコモン・モード・フィルタリング
- EMC規格に準拠するためのアンテナ感度劣化や耐性に関する懸念事項
- STのアプリケーション・ラボ・セッションの項目:
- 10Gbps USBトランスミッションのSSIテスト結果、スペクトル分析、およびトランスミッション速度テスト結果
- 最新のUSB4およびHDMI 2.1規格の概要
- STのECMFアプリケーションおよび製品の概要