STが開発した技術であるVIPower™ (Vertical Intelligent Power)は、1991年から生産されており、車載機器による中~大電力負荷の制御や保護、診断を可能にします。
VIPowerは、温度センサと電流センサを内蔵したVertical Double Diffused MOSパワー素子と、CMOSおよびHV素子を組み合わせた、Power-Analog回路混載の技術です。VIPowerの最新の構成では、TrenchFETパワー素子が集積されており、従来のDMOS構造に比べてRon抵抗が35%低減されています。
STのVIPowerチームは、新しい用途や市場に対応するため、常に技術開発を進めています。STの技術開発者、IC設計者、パッケージ設計者、アプリケーション・エンジニア、および製造技術者により、VIPower製品の製造工程とライフサイクルのすべてが厳しい品質基準に対応するよう管理されています。
VIPower技術は、市場でも評価されており、1日あたり平均345万個のVIPower製品が販売されています。また、これらの製品の多くは、車載用ボディ制御アプリケーションに使用されています。
VIPowerの最新世代品は、今や車載分野における幅広い高電流アプリケーションの新基準になりつつあります。また、VIPower製品は、消費電力、チップ数、ピン数を低減するソリューションにより、多くの電気機械式ソリューションを置き換えることで自動車の電動化とデジタル化の実現に貢献しています。
VIPower技術は、電気自動車への移行に向けて重要な役割を果たします。その最初の取り組みの1つが、(従来の12Vに追加された)48V配電ネットワークへの対応です。高電圧化により、大電力と高効率を実現すると同時に、高電圧ネットワークの絶縁や保護が不要となります。
このような48Vスマート・ネットワークは、マイルド・ハイブリッド / フル・ハイブリッド自動車に使用されています。このネットワークには、ハイサイドやローサイドの負荷、電気モータなどを駆動し、ECUに搭載されたマイクロコントローラとの通信を介してすべてをモニタするため、超低損失で高い電流検出精度を持つ高性能な電源スイッチが必要となります。
TwisterSIMは、設計・解析期間の短縮を可能にする独自の電熱シミュレータで、負荷適合性、ワイヤ・ハーネスの最適化、故障状態の解析、診断動作分析、動的熱性能などの高精度シミュレーションにより、複雑な評価をわずか数クリックで実行できます。
STのTwisterSIM電熱シミュレータは、無償でダウンロードでき、さまざまなローサイド / ハイサイド・ドライバとHブリッジに対応しています。このシミュレータを設計に利用することで、熱、電気、および基板特性の試験や調整が簡単に行えます。