窒化ガリウム
窒化ガリウム(GaN)は、ワイド・バンドギャップ(WBG)半導体の一種です。GaNはガリウム原子(III族、Z=31)1個と窒素原子(V族、Z=7)1個で形成される二元化合物で、六方晶系のウルツ鉱構造をとります。
窒化ガリウムの物性

STの窒化ガリウムの優位性
STのGaN HEMT(High Electron Mobility Transistor : 高電子移動度トランジスタ)は、シリコン・ベースのトランジスタと比較して、高周波数動作、高効率、高出力密度を実現できるため、パワー・エレクトロニクスの進化に大きく貢献します。
AlGaN / GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)
AlGaN / GaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)
性能
- 高密度の二次元電子ガス(2DEG)(濃度 : 約9x1012 cm-2)による低オン抵抗(Ron)
- 高バンドギャップ(3.4eV)による高い耐圧
- 空乏層を生じる接合部がないことによる低容量
メリット
- シリコンよりも優れたオン抵抗と高い動作周波数(高移動度による)
- 双方向性(回路トポロジによってメリットが得られる場合あり)
- ラテラル構造(パワー素子と制御回路の集積に最適)
GaN製品は、オン抵抗を犠牲にすることなくゲート電荷を低減できるため、低消費電力化とシステム全体の小型化を可能にします。
STとGaN
STは、1996年に、ワイド・バンドギャップ半導体であるSiC(炭化ケイ素)パワーMOSFETとSiCダイオードの開発を始めました。その後、STは主要サプライヤとなり、現在は、ワイド・バンドギャップ半導体によるパワー製品のポートフォリオをノーマリーオフ型の100V耐圧と650V耐圧GaN HEMT製品にまで拡充しています。
STのGaN製品は、航空宇宙、通信、産業機器といった多様な分野で、アダプタ(PC、携帯型機器、USB電源アダプタ、ワイヤレス充電器)、力率補正回路(PFC)サーバ、DC-DCコンバータなどの幅広い用途に対応します。
さらに、電気自動車向けオンボード・チャージャやマイルド・ハイブリッド車向けDC-DCコンバータなどの車載機器を対象としたGaN製品も開発しています。
技術情報や製品入手状況は、STのセールス・オフィスまでお問い合わせください。